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ネット選挙とクラウドファンディング、近隣分野についての制度に関する私見

西田亮介社会学者/日本大学危機管理学部教授、東京工業大学特任教授

最近、再びネット選挙関連の法改正に関連した動きが活発化していて(各党協議会の設置等)、関連してインフォーマルに私見を問い合わせいただくことが増えてきました。あまり旗幟鮮明にすると、(ビジネス)チャンスを逃しかねないなどと一瞬思ったのですが、よく考えてみればビジネスパーソンでもないので、私見を書いてみます。

ネット選挙運動(有権者のメール解禁等)はさらに解禁(公選法)、クラウドファンディング等を認めるべき(政治資金規正法)、文書図画と個別訪問の制限見直し(公選法)、電子投票は原則保留というのが現時点での私見です。

理由は、ネット選挙運動で、有権者と政治側で、政治側のほうが利活用できる範囲が広くなっており、両者の情報の非対称性に違和を感じること。現時点における政治のクラウドファンディングは、「売買契約型」「購入型」含め、事実上の「寄附」に近く、クレジットカードのオンライン寄附含めまともに使えるように制度設計すべきと考えるから。ネット選挙運動の解禁が公選法上の文書図画の利活用に関する、ひとつの新しいスタンダードとするなら、他の文書図画についてもネットの影響力や広告費をひとつの尺度に一定程度制限を緩和してもよいと考えられるから。ただし、電子投票については、秘密選挙の原則や、公務としての投票行動の性質を変容しかねないので、これらの課題が解決されない限り、現時点では解禁する合理的理由に欠くと考えられるからです。

社会学者/日本大学危機管理学部教授、東京工業大学特任教授

博士(政策・メディア)。専門は社会学。慶應義塾大学総合政策学部卒業。同大学院政策・メディア研究科修士課程修了。同後期博士課程単位取得退学。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科助教(有期・研究奨励Ⅱ)、独立行政法人中小企業基盤整備機構経営支援情報センターリサーチャー、立命館大学大学院特別招聘准教授、東京工業大学准教授等を経て2024年日本大学に着任。『メディアと自民党』『情報武装する政治』『コロナ危機の社会学』『ネット選挙』『無業社会』(工藤啓氏と共著)など著書多数。省庁、地方自治体、業界団体等で広報関係の有識者会議等を構成。偽情報対策や放送政策も詳しい。10年以上各種コメンテーターを務める。

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