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原型は古代からあった&江戸時代でバカ売れ!現代にも欠かせない調味料とは

山内琉夢歴史プレゼンター

古くから日本で愛されてきた「醤油」ですが、本来は中国から伝わった「醤(ひしお)」が原型だと言われています。

現在は「溜」、「再仕込」、「濃口」、「甘口」、「淡口」、「白」の6種類に分けられ、プロの料理人になると料理に合わせて醤油を使い分けるそうです。

そのなかでも、今回は白醤油に関するエピソードを紹介します。

調味料の移り変わり

醤油の原型である「醤」が日本に伝わったのは縄文時代末期〜古墳時代のことで、稲作の本格化と同時に醤の製造も開始しました。

さらに奈良時代になると、宮廷の料理や調味料を担当した大膳職でも醤が取り入れられるようになり、庶民だけでなく貴族にも親しまれるようになったのです。

平安時代末期に活躍した武将「源義経」の銅像
平安時代末期に活躍した武将「源義経」の銅像

しかし平安時代末期頃からは武士の時代が訪れ、固形で腹に溜まりやすく兵糧(兵の食料)にも向いていた味噌が調味料として重宝されるようになりました。そして、味噌の上澄液から醤油が誕生します。

室町時代・桃山文化を代表する建造物「銀閣寺(慈照寺)」
室町時代・桃山文化を代表する建造物「銀閣寺(慈照寺)」

室町時代になると、近畿地方を中心に本格的な醤油の生産がスタート。江戸時代になると関東方面にも流入し、醤油の存在は次第に全国へと広がったのでした。

浄瑠璃に使用される人形(写真は、阿波人形浄瑠璃)
浄瑠璃に使用される人形(写真は、阿波人形浄瑠璃)

ちなみに、1703年4月に初公開された江戸時代の大ヒット浄瑠璃「曽根崎心中」に登場する主人公が醤油屋の店主であったことから、この頃にはすでに醤油文化は大衆的なものになっていたと考えられます。

醤油の種類

次の項目へ進むために、まずは醤油の種類について紹介します。

・白

濱醤油醸造醸場の 「白醤油」
濱醤油醸造醸場の 「白醤油」

白醤油は、素材の彩を活かす料理に使用されることが多い醤油です。

見た目も1番淡い色をしています。

・淡口(薄口)

西日本を中心に愛用されているのが淡口醤油です。

塩分は少し高めですが、色と旨みを抑えることで食材本来の味を引き出すことに長けています。

・濃口

濱醤油醸造醸場の 「秘蔵醤油(濃口醤油)」
濱醤油醸造醸場の 「秘蔵醤油(濃口醤油)」

濃口醤油は、関東を中心に日本全国に流通している一般的な醤油です。

どんな料理にでも使用できることから、万能調味料のひとつとして数えられています。

・再仕込

醤油を醤油で仕込む製法の再仕込醤油は、濃口と比較して2倍の原料や熟成期間を要する高級醤油です。

味と香りのバランスがよく、醤油本来の味も濃厚なので、刺身に合わせる醤油として最適なのだとか。

・溜

濱醤油醸造醸場の 「たまり(溜醤油)」
濱醤油醸造醸場の 「たまり(溜醤油)」

ほかの醤油と比べて大豆の割合を多くし、水の使用を減らして旨味を凝縮させたのが溜醤油です。

熟成期間もいちばん長いため、濃い色と芳醇な香りを楽しめます。

白醤油の歴史

濱醤油醸造醸場の 「白醤油」
濱醤油醸造醸場の 「白醤油」

1802年に愛知県で誕生したのが、白醤油の発祥だといわれています。

当時から淡い見た目と淡白な味わいが料理の彩に活かせるとして、日本食を取り扱う料亭などで用いられていました。

左から「溜」、「濃口」、「白」
左から「溜」、「濃口」、「白」

ただ、長期保存が難しく、時間の経過とともに変色してしまうデメリットもあったようです。

そんな白醤油ですが、発祥の地から遠く離れた四国・徳島で空前の大ブームを巻き起こします。

徳島と白醤油

徳島城跡の石垣
徳島城跡の石垣

白醤油が徳島県に流入してきた時期や経緯は不明ですが、江戸時代の頃にはすでにブームが到来していました。

当時は人気のあまり品切れが続出したそうで、代わりに「白醤油切手」とよばれた商品券を作成して商品が入荷され次第に交換したそうです。

ちなみに普通の醬油は1升が現代価格2000円程度だと考えられており、白醬油は同等かそれ以上の値段であったと考えられています。

もしかすると、徳島城でも白醤油を使った料理が振舞われていたのかもしれませんね。

歴史プレゼンター

歴史ライターとしての活動経験を持ち、今までに32都府県の歴史スポットを巡ってきました。実際に現地へ行くのが難しい方に向けて、取材した歴史スポットについて紹介します。また、歴史に興味をもったことがなかった方にも楽しんでいただけるよう、歴史偉人の意外な一面や好きな食事・おやつの紹介など、ワクワクするような内容をお届したいです。

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