ドル円は155円台と円安進行、どうする日銀
24日のニューヨーク外国為替市場でドル円は一時、155円37銭と1990年6月以来、約34年ぶりの水準を付けた。大きな壁とみられていた155円を突破してきた。
鈴木財務相は25日午前、34年ぶりにドル円が155円台の水準となった為替円安について「コメントは控える」と述べた。いよいよ臨戦態勢に入った模様。このなかで25日から26日にかけて日銀の金融政策決定会合が開かれる。
日銀は植田体制となってからの政策変更や政策修正は、メディアや講演会での発言を通じて、市場に浸透させてから行うのが常套手段となっていた。
ただし、市場の先走りを防ぐため、不透明感も漂わせていたようにもみえる。昨年12月については不透明感というよりも、途中で何かしらの障害が発生していたとみられ、植田総裁の発言に一貫性を欠くという事態も発生していた。
仮に25、26日の金融政策決定会合で何かしらの修正を行うとすれば、ブラックアウト前に何かしらの示唆があってしかるべきであったはず。しかし、それがなかったこともあり、今回の金融政策決定会合では現状維持が予想される。
それでも為替が円安となっており、財務省もかなり神経を尖らせているなか、このタイミングで日銀が無回答ということもむしろ考えづらい。
鈴木財務相は23日午前の参院財政金融委員会で、円安の進行を受けた為替介入に関し、「環境は整った」との認識を示していた。
ユーロ円も一時は166円20銭と2008年8月以来の円安・ユーロ高水準を付けた。2008年には一時169円台を付けていたが、そこが視野に入りつつある。
トランプ氏が4年ぶりに円安・ドル高水準を更新したことに怒りを表し、「愚かな人々には聞こえはいいが、わが国の製造業などには大惨事だ」と主張したことも、全く無視することもできないのではなかろうか。
それでは日銀が手を打つとしたら何か。将来的な利上げの可能性を強く示唆することに加え、公表文の下記を修正する可能性もある。
「これまでと概ね同程度の金額で長期国債の買入れを継続する。」
公表文の注釈で概ね同程度の金額は「足もとの長期国債の月間買入れ額は、6兆円程度となっている。」とある。この6兆円程度の数値を外し「市場の動向や国債需給などを踏まえて実施」することを強調しても良いかと思う。
4月から国債の発行額は月額で5000億円程度減額されている。「6兆円」は償還分も加味して現在の日銀の保有額を維持させるための数値だが、これを外すことによって、テーパリング(資産買い入れ額を徐々に減らしていくこと)を示すことも選択肢のひとつとして予想される。