カンヌ女優となる日本の唐田えりかを、韓国が異例のボリュームで注目するワケ
現地時間で5月8日夜から始まった第71回カンヌ国際映画祭。是枝裕和監督の『万引き家族』が長編コンペティション部門に参加することもあって日本でも注目されているが、韓国でもカンヌ映画祭に注目が集まっている。
韓国からはイ・チャンドン監督の8年ぶりの新作となる『バーニング』が長編コンペティションに参加している。
イ・チャンドン監督と言えば、『ペパーミントキャンディ』や『シークレットサンシャイン』などで有名な“韓国映画界の巨匠”だが、そのイ・チャンドン監督が村上春樹の短編小説『納屋を焼く』を原作に作った8年ぶりの新作だけに期待が集まるところだ。
(参考記事:韓国映画界の巨匠イ・チャンドン監督が、村上春樹の短編小説を原作にした理由)
ただ、カンヌ情報を伝える韓国メディアの反応をチェックしながら驚いたのは、日本のとある若手女優のことを各メディアが取り上げていることだ。
女優の名は唐田えりか。濱口竜介監督の映画『寝ても覚めても』で、ヒロインを演じている女優だ。『寝ても覚めても』も長編コンペティションに参加していることもあるのだろうが、その記事量は異例の多さだ。
「新鋭・唐田えりか、カンヌのレッドカーペットを踏む」(『スポーツ東亜』)、「日本の唐田えりか、主演作でカンヌのレッドカーペットに」(『スターニュース』)など、19のメディアが彼女のカンヌ入りを伝えているほどなのだ。昨年9月に韓国のLG電子のテレビCMに出演しているとはいえ、異例のボリュームだろう。
(参考記事:「広末涼子に続く清純派女優」LG電子のCMに出演した唐田えりかの韓国での評判)
ただ、それも当然かもしれない。唐田えりかは昨年11月に韓国の芸能プロダクションであるBHエンターテインメントと、韓国国内におけるマネージメント契約も交わしている(もとは日本のフラーム所属)。
BHエンターテインメントは、今やハリウッドで活躍する俳優イ・ビョンホンや、日本では韓国時代劇ドラマ『トンイ』で一躍有名になった女優ハン・ヒョジュら、韓国屈指の役者専門のマネージメント会社だ。そのBHエンターテインメントの働きかけもあって、唐田えりかは韓国でも知名度をグングン伸ばしているのだろう。
ちなみに唐田えりかのように、韓国の芸能プロダクションとマネージメント契約を交わしている日本人は多い。
例えば韓国で“清純のアイコン”とされる藤井美菜は、韓国のB・BROSエンターテインメントと韓国国内活動のマネージメント契約を交わしている。
K-POPガールズグループのTWICEのメンバーでもあるミナ(名井南)、サナ(湊崎紗夏)、モモ(平井もも)は、TWICEを生み出したJYPエンターテインメント所属だ。
そのほかにも、アイドルグループH.U.BのメンバーでもあるRUIは、ニュープラネット・エンターテイメントとマネージメント契約を交わしている。K-POP界で活躍する日本人は増えているのだ。
(参考記事:美しすぎる!」とネットで話題に。韓国で活躍する日本芸能界の美女たち)
その一方で、特定のマネージメント会社と契約を交わさずに韓国での芸能活動を始めている者もいる。
今年3月に何かと物議を呼んだ日本のセクシー女優トリオ“HONY POPCORN”などは、メンバーがレコーディングからデビューイベントの費用まで自己負担して、今年3月にメディア向けのショーケース(お披露目イベントのようなもの)を行なっていた。
そうした状況を考えると、唐田えりかは恵まれていると言えるだろう。BHエンターテインメントと契約後、昨年11月には韓国の人気アーティストであるナオルのミュージックビデオ『記憶の空いた場所』に出演するなど、韓国での活動も始めて好評を得ている。
そんな彼女が初めてヒロインを務めた映画がカンヌで受賞ともなれば、韓国の唐田えりかファンたちも大喜びするに違いない。
韓国の有名映画メディア『シネ21』も、「韓国ではこれまでモデルのイメージが強かった唐田えりかの演技力を見ることができる良い機会になるだろう」と、映画『寝ても覚めても』に注目している。
長編コンペティション部門のパルム・ドールが発表されるのは、現地時間で5月19日。今から発表が楽しみだ。