dTVで配信されている乃木坂46主演ドラマ『サムのこと』『猿に会う』は屈指の青春ドラマである。
新型コロナウイルスの影響で外出の自粛が叫ばれる中、自宅で楽しめる動画視聴のニーズが高まっている。テレビも平均視聴率を盛り返し、定額制動画配信サービス(SVOD)を楽しむ人も急増している。
映像配信サービスのdTVでは、4月の休日2日間(4/11・12)の視聴数が、2月の同週比で13%も上昇した。1人当たりの視聴作品数も14%上昇しているほか、総視聴時間についても28%増加するなど、利用実態に大きな変化が見られるという。
そんな中、是非ともおすすめしたいのが、dTVで絶賛配信中のドラマ『サムのこと』と『猿に会う』である。
この二作は西加奈子の短編小説を映像化したもので、乃木坂46のメンバーが主演を務める全4話の作品となっている。
『重力ピエロ』や『見えない目撃者』といった映画で知られる森淳一が監督した『サムのこと』は、解散したアイドルグループのメンバーだったアリ(早川聖来)、キム(田村真佑)、モモ(掛橋沙耶香)、スミ(金川紗耶)の4人が、突然グループを辞めた元メンバーのサム(遠藤さくら)のお通夜をきっかけに再会する物語。
事故死したサムのことを思い出して自殺じゃないかと疑い出す4人にはそれぞれ秘密の過去があった。
何を考えているのかわからないサムだったが、果たして彼女の死の真相は?
遠藤さくらたち乃木坂46のメンバーがアイドル役を演じ、劇中にはアイドルとして活動する場面や、そのことに悩むシーンが出てくるため、まるでドキュメンタリーのようなリアリティがあるのが特徴。
物語の進み方も淡々としているのが逆にリアルで、若い時に友達を亡くした時に感じる悲しみ方がわからずにおどけてしまう気まずい空気感はとてもよくわかる。
印象に残るのは唐突に挟み込まれるナレーションと低音が耳に響く劇伴。
シンプルだがインパクトのある音の見せ方は、地上波のテレビドラマではあまりみないもので、隠れた注目ポイントである。
実際の乃木坂46は大メジャーアイドルで、劇中のアイドルグループとは人気の規模が違うが、それでも説得力があるのは、アイドルはもちろんのこと、あの年頃の女の子が普遍的に抱えている「何者かになりたいけれど自信がなくて空回りしている」時の切実な感情が描かれているからだろう。
一方『猿に会う』は、様々なMVやAKB48のドキュメンタリーを多数手がけている高橋栄樹が監督を務めている。
劇中では、まこ(賀喜遥香)、きよ(清宮レイ)、さつき(柴田柚菜)の仲良し女子大生三人が日光東照宮までドライブする中で起こる数日間の出来事が描かれる。
淡々とした他愛のない話に見えるが、表現していることの奥行きは深い。
一見仲良くみえても三人にはそれぞれの悩みや自分だけの世界を抱えており、実は危ういバランスで成立していることが観ているとだんだんわかってくるのだ。
途中で車に乗せる女占い師(堀未央奈)との出会いから不穏な影が差し込むのだが、その不穏さを内包したまま物語は淡々と進んでいく。
まるで「それこそがわたし達の生きている日常なのだ」と言わんばかりに。
こちらは彼女たちが年相応の女子大生役を演じているのだが、彼女たちの抱える悩みや友人関係における距離感がとてもリアルで見応えがある。
どちらも全4話でメイキングが2話ついているので、ドラマを楽しんだ後で是非観て欲しい。
片や元アイドルグループのメンバー、片や教室の少し隅っこにいる女子大生グループと立場は違うものの、どちらも10代後半から20代前半の女性の気持ちに寄り添った丁寧な青春ドラマとなっているので、アイドルとしての彼女たちのファンはもちろんのこと、何か面白いドラマを観たいなぁという人にもおすすめである。
もうしばらく外出自粛期間は続きそうだが、dTVの乃木坂ドラマで乗り切ろう。
『サムのこと』『猿に会う』特設サイト→https://nogizaka46.dtv.jp/
dTV公式サイト→https://pc.video.dmkt-sp.jp/
『サムのこと』
配信話数:全4話 (各話 約20分)
出演:遠藤さくら 早川聖来 田村真佑 掛橋沙耶香 金川紗耶 筒井あやめ 矢久保美緒 / 秋元真夏
山本剛史 村岡希美 中島歩 ほか
原作:「サムのこと 猿に会う」西加奈子(小学館文庫)
監督:森淳一
脚本:三嶋龍朗
チーフプロデューサー:上田徳浩
プロデュース:鈴木健太郎、備前島幹人
プロデューサー:龍貴大、西ヶ谷寿一、横山蘭平
協力:秋元康
(C)西加奈子・小学館/エイベックス通信放送
『猿に会う』
配信話数:全4話 (各話 約20分)
出演:賀喜遥香 清宮レイ 柴田柚菜 北川悠理 / 堀未央奈
石川瑠華 阪本一樹 三島ゆたか
原作:「サムのこと 猿に会う」西加奈子(小学館文庫)
監督:高橋栄樹
脚本:穐山茉由
チーフプロデューサー:上田徳浩
プロデュース:鈴木健太郎、備前島幹人
プロデューサー:龍貴大、西ヶ谷寿一、横山蘭平
協力:秋元康
(C)西加奈子・小学館/エイベックス通信放送