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出場停止処分を受けたウェスト審判を当事者のベルトレが擁護「彼は冗談を言っただけ」

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
MLBから出場停止処分を受けたウェスト審判を擁護する発言をしたベルトレ選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 MLBが8日、MLB在籍39年という史上最長記録を誇り、今シーズン通算5000試合出場を達成したジョー・ウエスト審判に対し3試合の出場停止処分を科したことが、米国内で波紋を広げている。

 米国メディアの報道によると、処分のきっかけとなったのが、ウェスト氏の5000試合出場達成を記念して、6月20日付けの『USAトゥデー』紙に掲載されたウェスト氏の特集記事において、ウェスト氏がつい先日3000本安打を達成したレンジャーズのエイドリアン・ベルトレ選手を“MLB最大のクレイマー”として発言を行ったことについてMLBが問題視したためだった。しかし記事上でウェスト氏はベルトレ選手と“友情関係”にあることを明らかにしており、決して一方的な批判でないことは明らかだった。

 そんな状況下で、レンジャーズの地元記者が9日のメッツ戦後にベルトレ選手を直撃し、ベルトレ選手の本心を聞き出すことに成功し、記事にまとめている。

 以下、ベルトレ選手の発言を要約しておく。

 「自分は出場停止処分が適切だとは思わない。彼が冗談を言っただけなのは理解しているし、大袈裟なことではないと思う。起こってしまったことは残念だし、多分誤解が生じてしまったのだと思う。

 自分はジョーを尊敬している。彼は将来殿堂入りする素晴らしい審判だ。確かにお互いの意見が食い違うような会話をすることがあるのは事実だが、それをお互いが理解し、気にせず前に進むのが我々の世界だ。これまで(審判に対し)偏見を感じたことは一度たりともない」

 MLBが問題視した当事者のベルトレ選手は、このようにウェスト審判を100%擁護する側に回っている。すでにウェスト氏が所属する『ワールド・アンパイア協会(WUA)』も処分に対し、提訴することを表明している。

 果たしてMLBは最終的にどのような裁定を下すか、注目したいところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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