老若男女を問わず広がるFacebook、高学歴や高年収が好むTwitter…米ソーシャルメディア事情
インターネットとスマートフォンの普及で大いに浸透を加速するソーシャルメディア。中でもFacebookとTwitterは米国発のサービスとして、世界にその名を知られるほどの普及ぶりを示している。その米国での浸透状況を、同国の民間調査会社Pew Research Centerが2015年8月に発表した、同国のソーシャルメディアなどの利用状況を調査した報告書「Mobile Messaging and Social Media 2015」から確認していく。
FacebookとTwitterはこの数年、米国内においては対インターネット利用者に占める普及率が頭打ち状態にある。インターネット利用者・利用率そのものは漸増しているので、純粋な調査対象母集団全体に対する利用率も少しずつ増加しているはずだが、頭打ち感は否めない。成長を続けるPinterestやInstagramとは対照的である。
その頭打ち感のある両サービスでは、属性別ではどの程度普及を果たしているのか。その現状を確認していくことにする。まずはFacebook。
全体では72%。今調査の調査対象母集団(18歳以上)のインターネット利用率は84.5%だから、米国の18歳以上全体の6割強はFacebookを利用していることになる。
男女別では意外(!?)にも女性の方が利用率が高く、10%ポイント強の差をつけている。世代別では若年層ほど上で、30歳未満では8割を超えている。しかし65歳以上でも5割近くが回答しているあたり、Facebookの厚みを実感させる。
その厚みだが、他の属性別ではさらに実感が沸いてくる。学歴別・世帯年収別・居住地域別に見ても、ほとんど違いが無い。かろうじて居住地域別で都市部の方が高めな傾向にあるが、これとて差は10%ポイントを割り込んでいる。老若男女を問わず、居酒屋におけるビールの注文のごとく「とりあえずFacebook」状態であることが容易に理解できる結果に違いない。
TwitterはFacebookと比べ、属性別の利用状況が大きく違っている。
全体の利用率がFacebookと比べて低いのはともあれ、男女別では男性の方が利用率は高い。そして世代別では若年層の方が利用率は上だが、Facebookと比べると世代間の格差が大きい。65歳以上は6%しかなく、30歳未満の利用率の1/5を下回っている(Facebookでは6割近く)。いかにTwitterが若年層に偏った利用層を有しているのかが分かる。
また学歴別では高学歴、世帯年収別では高年収、居住地域別では都市部ほど、利用率が高い傾向が明確に出ており、この点もFacebookとは異なる動きとして注目に値する。Facebook同様の「まんべんなく広まる」に至るまでののびしろがあると見るべきなのか、Twitterの特性上この区分が最適化された状態なのか、判断は難しい。ただ、FacebookはともかくTwitterの属性別利用率の傾向は、昔からこのような状態であったことから、どちらかといえば後者に該当し、低い値を示している属性がさらに成長する見通しはあまりなさそうだ。
マルチメディア系機能に特化したPinterestやInstagramは利用率そのものはさほど高くないが、順調に成長を続けている。FacebookやTwitterなどもマルチメディア対応を強化しているが、プラスαの機能として評価されているものの、ブースター的な威力を期待するまでのものでは無い。
他の様々なデジタル機器がスマートフォンに集約利用されたように、FacebookならFacebookですべてが行えればシンプルなように見えるが、やはりPinterestやInstagramで特化された機能は、それぞれ単独で利用したい人が多いのだろう。
またTwitterは現状の値ですでに伸び悩みの動きを示しており、運営側が不安を覚えるのも理解はできる。日本に注力しリソースをより多く割くような動きを示しているのも、一因にはアメリカでの伸び悩みがあるのかもしれない。
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