オーストラリア軍の中将、キラーロボットの脅威を懸念:「倫理観を持たなければならない」
人工知能(AI)が発展しロボット兵器が自らの意思を持って判断して人間を攻撃してくる、いわゆる「自律型致死兵器システム(LAWS)」の脅威について国際社会では真剣に議論されている。2017年11月には、国連の特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組で公式専門家会議が開催され、日本からは外務省や防衛省らが参加した。自律型致死兵器システム(LAWS)は「キラーロボット」とよく呼ばれている。
「倫理観のない国はキラーロボットを開発してくる」
オーストラリア軍のAngus Campbell中将が2018年1月にフェアファクス・メディアに出演してキラーロボットについて語った。Campbell中将は「オーストラリアと違って、倫理観のない国家やテロ組織がキラーロボットを利用して敵国に攻めてくる脅威がある。オーストラリア軍と国際社会はこの問題を真剣に考えるべきだ」と語った。中将は具体的な敵国名などはあげていないが、シドニー・モーニング・ヘラルド紙は既にAIを搭載した兵器を開発しているロシアや中国を念頭に置いているのだろうと報道していた。
中将は「既にイラク領内でイスラム国が小型ドローンを用いて、(偵察でなく)実際に攻撃をしてきた。技術の進化で人間を介在しないロボット兵器が開発できるようになるが、倫理観のない国は自らの意思で人間を攻撃するキラーロボットを開発してくる可能性があり、それは大きな脅威である」とコメント。
「『何が正しいことなのか』という倫理観を持たなければならない」
また番組内で「技術開発の進歩が非常に早く、ロボット兵器は戦場での『ゲームチェンジャー』になり、従来の戦争の在り方を変える。そしてそれらの技術開発のスピードに人間が付いていけないという議論がある。これについてどう思うか」と振られると、中将は以下のようにコメント。
「我々は常に『何が正しいことなのか』という倫理観を持たなければならない。少なくとも問いかけることはできるし、問いかけるべきだ。また倫理の観点だけではなく軍事、外交、国際法、人間社会の観点からこの問題を考えていく必要がある」