伝説の名機が新技術で蘇る!テクニクスの新レコードプレーヤー正式発表!
パナソニックの高級オーディオブランド「テクニクス」が復活してから約1年半。テクニクスブランドを象徴する名機のひとつであるレコードプレーヤー「SL-1200」が、「SL-1200GAE」として蘇る。
価格は33万円(税抜)で、6月24日より全国のオーディオ専門店を中心に、オーディオコーナーを持つ一部の量販店やパナソニック特約店で取扱いを開始する。(受付けは4月12日に開始)
正確には、2016年1月に、レギュラー製品の「SL-1200G」と50周年記念の限定生産モデル「SL-1200GAE」の製品化を発表済みだったが、今回は国内での発売時期と価格が明示された。
1月の発表時点で世界的に反響が大きかっただけに、今回の正式発表を受けて、オーディオ市場が一層の盛り上がりそうだ。
発表会ではパナソニック役員の小川理子氏が登壇し、テクニクス復活からの歩みや市場動向を、テクニクス事業推進室CTOの井谷哲也氏が製品の技術詳細について説明した。
■今、なぜ、高級レコードプレーヤーなのか?
高級オーディオ市場は年々縮小傾向にあったが、近年は"ハイレゾ"を切っ掛けに復調の兆しが見えてきた。
小川氏によると、新生テクニクスは、プレミアムクラスと呼ぶC700シリーズ(セットで50万円前後)を発売以降、年間を通じて想定を上回る販売を維持するなど堅調と言う。ラインナップ拡充し、さらなる飛躍を狙う。
また市場動向として、レコードの復権に着目。レコードの国内生産枚数(*1)は、2014年度に40万枚程度であったものが、2015年度には110万枚弱と約3倍に伸張していることから、一過性のブームを超えて定着に至ると見る。
こうした流れから、高級レコードプレーヤーに商機を見い出したようだ。
(*1: 東洋化成株式会社出荷枚数より)
■技術と品質へのこだわり
ここ最近、レコードを知らない若年層を中心に、レコードの人気が高まっている。そうした需要を受けて、オーディオ各社はレコードプレーヤーの再商品化に動いている。製品の多くは1万円~数万円と、若年層でも手が届きやすい価格帯が中心だ。
その点、SL-1200GAEは、かつてのSL-1200と外観こそ近似しているが、最新技術を導入た高級モデル。
井谷氏によると、特に肝となる回転機構には、テクニクスが得意とするダイレクトドライブ方式(モーターがターンテーブルを直接回転)を踏襲しつつ、新型モーターの開発により、より滑らかで安定した回転を実現したという。多くの部品は国内生産で、組み立ては宇都宮にあるパナソニックの工場で行われる。組み立て精度にもこだわる、匠の技による”国産”だ。
実物を間近で見ると、細部に至るまで磨きが掛けられ、機械式時計のような精密感が伝わってくる。近年希に見る、国産高級オーディオの復活を感じさせるものだ。
会場では、歴史を振り返るべく、テクニクスの名を世界に知らしめたダイレクトドライブ式ターンテーブルの1号機であるSP-10や、SL-1200初号機などが展示されていた。
■さいごに
ハイレゾで"音"に関心を持つ音楽ファンやオーディオファンが増えた結果、往年のオーディオファンがレコードへの回帰を、レコードを知らない若年層が新しいメディアとして興味を持ち始め、レコードに再び注目が集まっているのは間違い無い。
今回のSL-1200GAEは、欧米と日本向けに1200台を限定生産し、うち国内販売は300台。市場の反応を確かめる積もりのようだが、筆者の予想では、受け付け開始から間もなく完売するだろう。33万円という価格は決して安くはないが、心臓部のモーターから開発するメーカーは極めて稀で、オーディオマニアから見れば価格以上の価値を感じるに違いない。
オーディオに限らず、質よりも低価格がもてはやされる今、テクニクスの技術と品質が一般消費者に、どのように評価されるのか興味深い。
SL-1200GAEが成功を収めれば、オーディオ各社、エレクトロニクス各社も大いに刺激されるだろう。まずは、4月12日の受付開始を見守りたい。