[訃報]フュージョンを先駆けた”クルセイダーズ”の枢軸 ウェイン・ヘンダーソンさん逝去
1970年代のフュージョンを語るのに欠かせないビッグ・ネーム”クルセイダーズ”の結成&中心メンバーで、ファンキーなトロンボーン・プレイでファンを魅了したウェイン・ヘンダーソンさんが亡くなりました。
1960年代後半に同郷の友だちで結成したジャズ・バンドに、エレクトリック・ベースとエレクトリック・ギターを補強して出直したのが1971年。バンド名から”ジャズ”を取り払って再出発した”クルセイダーズ”は、R&Bを進化させたファンクとエレクトリック・ジャズをいち早く融合させ、ブラック・コンテンポラリー・ミュージックの基礎とも言うべきサウンドを確立させました。
ウェイン・ヘンダーソンさんはその立役者のひとりです。
ボクがウェイン・ヘンダーソンさんにインタビューしたのは2001年1月。彼のバンド=ネクスト・クルセイドやロニー・ロウズ、ウィルトン・フェルダー、ダン・モレッティといったウエスト・コースト・フュージョンの第一線で活躍していた面々の、1990年代初期の作品をコンピレートした『Seasons 4 Jazz』というアルバムのプロモーションのために来日したときのことでした。
クルセイダーズは、1976年に中心メンバーだったウェイン・ヘンダーソンとラリー・カールトンが、そして1983年にスティックス・フーパーが脱退したことで、ウィルトン・フェルダーとジョー・サンプルの双頭体制にゲストが加わるかたちで活動を続けるも、1991年に事実上の活動休止。一方で、ウェイン・ヘンダーソンとウィルトン・フェルダーが1992年からネクスト・クルセイドを名乗って活動を始めるなど、ビッグ・ネームならではの“御家騒動”が勃発してファンをヤキモキさせていたのですが、2001年のインタビューの際もそれとなく「どうなっているんですか?」ということを聞き出そうとした記憶があります。
そのすぐ後に、アメリカから「クルセイダーズがウィルトン・フェルダー、ジョー・サンプル、スティックス・フーパーで再結成」というニュースが飛び込んできてビックリしましたけど。
2010年にはウェイン・ヘンダーソンとジョー・サンプルのツアーにウィルトン・フェルダーとスティックス・フーパーが参加するというので「オリジナル・クルセイダーズの再結成か!」と話題になったのですが、残念ながらスティックス・フーパーが体調不良でツアーに不参加、同年開催の東京ジャズにはウィルトン・フェルダーも不参加で、ファンの夢は泡と消えてしまった経緯があります。
♪The Jazz Crusaders "Eleanor Rigby" & "Street Life"
ご冥福をお祈りします。