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[訃報]フュージョンを先駆けた”クルセイダーズ”の枢軸 ウェイン・ヘンダーソンさん逝去

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家
ウェイン・ヘンダーソン『スケッチズ・オブ・ライフ』
ウェイン・ヘンダーソン『スケッチズ・オブ・ライフ』

1970年代のフュージョンを語るのに欠かせないビッグ・ネーム”クルセイダーズ”の結成&中心メンバーで、ファンキーなトロンボーン・プレイでファンを魅了したウェイン・ヘンダーソンさんが亡くなりました。

Wayne Henderson, a trombonist, composer and co-founder of the Jazz Crusaders, who became a powerful force for merging the sound of jazz with elements of funk, soul and R&B, died Friday at a Culver City hospital. He was 74.

出典:Wayne Henderson dies at 74; Jazz Crusaders co-founder, trombonist|Los Angeles Times

1960年代後半に同郷の友だちで結成したジャズ・バンドに、エレクトリック・ベースとエレクトリック・ギターを補強して出直したのが1971年。バンド名から”ジャズ”を取り払って再出発した”クルセイダーズ”は、R&Bを進化させたファンクとエレクトリック・ジャズをいち早く融合させ、ブラック・コンテンポラリー・ミュージックの基礎とも言うべきサウンドを確立させました。

ウェイン・ヘンダーソンさんはその立役者のひとりです。

ボクがウェイン・ヘンダーソンさんにインタビューしたのは2001年1月。彼のバンド=ネクスト・クルセイドやロニー・ロウズ、ウィルトン・フェルダー、ダン・モレッティといったウエスト・コースト・フュージョンの第一線で活躍していた面々の、1990年代初期の作品をコンピレートした『Seasons 4 Jazz』というアルバムのプロモーションのために来日したときのことでした。

クルセイダーズは、1976年に中心メンバーだったウェイン・ヘンダーソンとラリー・カールトンが、そして1983年にスティックス・フーパーが脱退したことで、ウィルトン・フェルダーとジョー・サンプルの双頭体制にゲストが加わるかたちで活動を続けるも、1991年に事実上の活動休止。一方で、ウェイン・ヘンダーソンとウィルトン・フェルダーが1992年からネクスト・クルセイドを名乗って活動を始めるなど、ビッグ・ネームならではの“御家騒動”が勃発してファンをヤキモキさせていたのですが、2001年のインタビューの際もそれとなく「どうなっているんですか?」ということを聞き出そうとした記憶があります。

そのすぐ後に、アメリカから「クルセイダーズがウィルトン・フェルダー、ジョー・サンプル、スティックス・フーパーで再結成」というニュースが飛び込んできてビックリしましたけど。

2010年にはウェイン・ヘンダーソンとジョー・サンプルのツアーにウィルトン・フェルダーとスティックス・フーパーが参加するというので「オリジナル・クルセイダーズの再結成か!」と話題になったのですが、残念ながらスティックス・フーパーが体調不良でツアーに不参加、同年開催の東京ジャズにはウィルトン・フェルダーも不参加で、ファンの夢は泡と消えてしまった経緯があります。

♪The Jazz Crusaders "Eleanor Rigby" & "Street Life"

ご冥福をお祈りします。

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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