18歳から選挙権ほか、「万年野党」が提案した国家戦略特区
「若者の政治参加を通じた地域活性化に係る特区提案」国家戦略特区提案
万年野党では、これまでに「国家公務員制度改革」「会社法改正」「薬事法改正」「タクシー規制」「東電処理」などに関しての緊急提言説明会などを行ってきたが、実は、今話題の国家戦略特区について提案を行ってきた。その具体的な提案が、「若者の政治参加を通じた地域活性化に係る特区提案」だった。(内閣官房地域活性化統合事務局・内閣地域活性化推進室HP参照)
これは、昨年9月に任意団体時の万年野党として田原総一朗・磯山友幸・高橋亮平の名前で提案をし、国会戦略特区ワーキンググループのヒアリングを受けたものだ。
若者の政治参加の拡大は、長年の課題になっているが、一向に解決が図られていない。とりわけ地方議会においては、この問題は国政以上に深刻であり、高齢議員が議席の大半を占めるケースが一般的だ。町村議会の場合、60歳以上が67%をも占め、40歳未満はわずか2%でしかなく、この結果、「多くの若者が政治に関心を持ちづらい」、「政治、とりわけ地方政治が、若者よりも高齢者に目を向けがち」、といった問題が生まれていると考えられると指摘した。
こうした状況の改善のためにと、万年野党が、国家戦略特区として提示したのが、以下の2つの策だった。
若者政治参加特区による被選挙権年齢の引き下げ
1つ目の提案は、「地方議会での被選挙権年齢の引き下げ」だった。
現行の公職選挙法のもとでは、地方議会での被選挙権年齢は、一律に「満25歳以上」と定められているが、これを改め、市町村が条例により、独自にその市町村議会における被選挙権年齢を引き下げられるようにすること(条例により、例えば「満20歳以上」とするなど)を提案した。
(参考)
○現行の公職選挙法第10条第1項第5号
「市町村の議会の議員についてはその選挙権を有する者で年齢満二十五年以上のもの」
○改正イメージ
「市町村の議会の議員についてはその選挙権を有する者で年齢満二十五年以上のもの(ただし、当該市町村の条例により、年齢満二十年以上の範囲で年齢を引き下げることができる。)」
この改正により、条例で引き下げのなされた市町村では、学生などを含めて、より多くの若者が、議員に立候補できるようになる。その効果として、以下が期待できると考えた。
・若者が立候補することによって、より多くの若者が投票所に足を運ぶこと、
・立候補した若者が当選して、議会に新しい風を吹き込み、これまでの地方政治を活性化すること、
・さらに、地方政治の若返りと活性化を通じて、地域全体の活性化をもたらすこと。
こうして、市町村のイニシャティブにより、いわば「若者政治参加特区」とも呼ぶべき地域を作っていくことが可能になるという提案だ。
若手議員を養成するための教育機会の提供
2つ目の提案は、若手議員への教育機会の提供だ。
社会経験の乏しい若者が議員になることには、いかに資質と意欲があったとしても、不安を覚える人も少なくない。そこで、議員として必要な知識・理論を継続的に身につける場を提供すべく、通信制で公共政策・政治を学ぶ大学・大学院を設けることを、合わせて提案した。
議員になってからも、実地での活動と同時に、知識・理論を学び続けることにより、若手議員がさらに能力を開花させ、存分に活躍することが期待できるというものだった。
「若者政治参加特区(被選挙権年齢の引下げ)」の提言と説明会も実施
こうした「若者政治参加特区(被選挙権年齢の引下げ)」について、提言をまとめると同時に、国会議員やマスコミを対象とした提言説明会も国会の中で実施した。昨年11月に行った提言内容については、NPO法人「万年野党」ホームページからPDFをダウンロードできるので、見てもらいたいと思うが、この提言の中では、まず第一歩として、地方議会の被選挙権年齢の引き下げに絞っているが、さらに引き続き、選挙権年齢の引き下げなどにも取り組んでいくべきと考えているとした。
ちなみにこの際には、多くの著名な発起人や、視聴による賛同人が名前を連ねた。
「若者政治参加特区(被選挙権年齢の引下げ)」の実現に向けて(提言)
<発起人>
代表 田原総一朗 ジャーナリスト
宮内 義彦 オリックス取締役兼代表執行役会長・グループCEO
竹中 平蔵 慶應義塾大学教授
久保利英明 弁護士
磯山 友幸 経済ジャーナリスト
岸 博幸 慶應義塾大学教授
高橋 洋一 嘉悦大学教授
高橋 亮平 任意団体・万年野党事務局長
原 英史 株式会社政策工房代表取締役
<賛同者>
桜井 勝延 南相馬市長
松尾 崇 鎌倉市長
石津 賢治 北本市長
2年後には選挙権年齢が18歳からに
先週4月17日に衆院憲法審査会で、今国会に提出された憲法改正手続に関する国民投票法改正案の審議が始まった。この法改正の中で、国民投票年齢に合わせて公職選挙法の選挙権年齢についても「18歳以上」に引き下げる議論が、同時に行われる。また、この法案と当時に、自民・公明・民主・維新・みんな・結い・生活・改革の8党で確認書を交わした。その中で、選挙権年齢については、「改正法施行後2年以内に18歳に引き下げることを目指し、各党間でプロジェクトチームを設置することとする。」とされている。
明日4月22日には、この衆院憲法審査会で参考人質疑が行われることになっており、筆者も衆議院憲法審査会に参考人として、この問題について発言が求められている。
こうした動きについても、万年野党の提案した「若者政治参加特区(被選挙権年齢の引下げ)」にも、つなげていきたいと思う。引き続きご支援をいただきたい。
Facebook: /yatoojp
Twitter: @yatoojp
事務局長 高橋亮平