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地域別の野菜摂取量の違いをさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 野菜は食生活に欠かせない存在。収穫を自ら行えば美味しさアップ。(写真:アフロ)

野菜は日々の食生活においては欠かせない食材の一つ。日本では地域によって摂取量に違いは生じているのだろうか。厚生労働省が2020年12月に発表した定期調査「国民健康・栄養調査」(※)の最新版となる2019年分における報告書の公開値などから確認する。

その調査結果によれば、野菜類摂取量の平均値は269.8グラム/日。なお今件の野菜類とは緑黄色野菜や葉物、淡色野菜、さらには野菜ジュースや漬物も含まれる。果実類やいも類は含まれない。

↑ 野菜類の摂取量の平均値(男女計、年齢階層別、グラム/日)(2009年、2019年)
↑ 野菜類の摂取量の平均値(男女計、年齢階層別、グラム/日)(2009年、2019年)

それでは地域別で野菜類の摂取量に違いは生じているのだろうか。その実情を確認した結果が次のグラフ。なお「関東I」とは埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、「関東II」は茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県、「近畿I」は京都府、大阪府、兵庫県、「近畿II」は奈良県、和歌山県、滋賀県、「北九州」は福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、「南九州」は熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県が該当する。また、平均値は単純に各回答者の値を足して回答者数で割ったもの、中央値は回答者を回答値の順に並べて人数の上で半数の場所にいる人の回答値を示したものである。

↑ 野菜類摂取量(1歳以上、1日あたり、地域別、グラム)(2019年)
↑ 野菜類摂取量(1歳以上、1日あたり、地域別、グラム)(2019年)

全国平均摂取量は269.8グラム、中央値は239.0グラム。平均値、中央値ともに最高値を示したのは北陸だが、これは前回年の2017年の結果と同じ傾向であり、単なるイレギュラー的なものではないようだ。これは北海道が低めの値を計上したのと合わせ、食塩の摂取量状況と同じであり、興味深い結果といえる。

↑ 食塩摂取量平均値(20歳以上、1日あたり、地域別・男女別、グラム)(2019年)
↑ 食塩摂取量平均値(20歳以上、1日あたり、地域別・男女別、グラム)(2019年)

他方最少値は平均値では近畿II、中央値も近畿II。近畿の人は野菜をあまり摂らない傾向があるのだろうか。

低めの値が出ているのは近畿以外では北海道、東海、中国、九州。このうち北海道や近畿(I)、中国では野菜類に限らず、食品群そのものの摂取量が少ない結果が出ている。

↑ 食品摂取量(1歳以上、1日あたり、地域別、グラム)(2019年)
↑ 食品摂取量(1歳以上、1日あたり、地域別、グラム)(2019年)

平均的なエネルギー摂取量に大きな違いは確認できないので、それぞれの地域ならではの食生活の事情が結果として表れているのかもしれない。

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※国民健康・栄養調査

健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素など摂取量および生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とした調査。2019年調査分における調査時期は2019年11月中、調査実施世帯数は2836世帯で、調査方法は調査票方式。

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(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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