日銀の金融政策決定会合、無理矢理な全員一致から納得の全員一致に変化か
23日の日銀の金融政策決定会合の結果は、公表文を見る限り、まさに予想通りであった。今回も全員一致、公表文の「必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。」との、いわゆるフォワードガイダンスの修正もなし。
政策委員は全員、本当にこれで良しと思っているのであろうか、というコメントを実は私は書いていた。
さらに市場のマイナス金利解除予想は4月が大半である。3月の可能性もある。しかし、その気配を一切感じさせないところも不気味であるとしか言いようがないとも決定会合終了後に私はコメントした。
ところがその後、市場が次第にざわざわし始めていたのである。「角度が少しずつ高まっているという表現」が追加されたけど、これはどういう意味なのかという質問も。
今回の会合では「経済・物価情勢の展望」、いわゆる展望レポートも公表された。年8回ある決定会合のうち4回で、この展望レポートが公表される。
今回も注目されていたのは、このなかの参考資料となっている「政策委員の大勢見通し 」のなかの2024年度と2025年度の物価見通しであった。私もその数値は真っ先に確認したが、展望レポートの文章までは確認していなかった。
ところが、その展望レポートの文章の一部に修正が入っており、それを注目した市場関係者がいて、ざわざわとなっていたのである。
その部分とは、概要欄の「先行きの不確実性はなお高いものの、こうした見通しが実現する確度は、引き続き、少しずつ高まっている。」の部分であり、これがあらたに追加されていたのである。
「見通しが実現する確度は少しずつ高まっている」、いわゆる日銀文学である。どのように解釈するのかは読み手に任せるといった悠長なことは言っていられない。その解釈については15時半からの植田日銀総裁の会見によって、市場で解釈されていったとみられる。
つまりこれは正常化に向けて一歩踏み出す理由となりそうだということであった。これによって3月か4月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策が解除される可能性が高まったとの読みとなった。
23日のナイトセッションの債券先物は大きく売られ、24日もさらに売られ、10年債利回りはあっさりと0.7%台を回復した。
これは昨年末の欧米の長期金利の低下とともに、能登半島地震によって特に海外投資家がマイナス金利解除の可能性は後退と認識されて、2年債利回りが一時マイナスに転じるなどしたことの反動でもあったとみられる。
ちなみに、もし「確度」に対する市場の解釈が合っていたとすれば、今回の金融政策決定会合の全員一致はこれまでの全員一致とは参加者のマインドは異なっていた可能性がある。
特に植田総裁などは、次回以降のことを考えれば、ここは無理せずに全員一致で現状維持でも良しと認識していた可能性もあるのではなかろうか。