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若者の「結婚した方がいい」の価値観、諸外国の違いを探る

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 結婚は契約の一形態に過ぎないとの割り切り方をする人もいるが……

日韓高め、欧米低め

家族構成の根幹を成し、子育てとも浅からぬ関係を持つとされ、当人だけでなく周辺の人にも人生の大きな節目となる「結婚」という社会様式。法的関係で結ばれていない「事実婚」も含め、特に若年層においては憧れ、目標のイベントとされている。その価値観は世界共通のものなのか。2014年6月に内閣府が発表した、日本や諸外国の若年層を対象にした意識調査「平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」を基に、その実情を探る。

調査対象母集団に対し、事実婚も含めた結婚そのものについて、どのような感想・イメージを持っているかを尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 結婚(事実婚含む)についてどう思うか
↑ 結婚(事実婚含む)についてどう思うか

結婚そのものに最も肯定的なのは韓国で、次いで日本。アメリカ、イギリスが続く。スウェーデンでは肯定派は1/4足らずで、否定派はほぼ2/3にも及んでいる。

強い肯定「結婚すべき」に限ると米英が一番多く、次いでドイツが続いている。「結婚した方が良い」も含めた「結婚肯定派」そのものとは順位が大きく変化するのが興味深い。結婚を肯定するか否かでは、それらの国は二極化しているということだろうか。ただし強い否定「結婚しない方が良い」はどの国でも数%に留まっており、二極化ではなく、肯定派の多い・少ないの方が適切かもしれない。

意外に思えるのがフランスやスウェーデンの結婚肯定派の少なさ。「結婚しない方が良い」との強い否定派は少数だが、「結婚しなくても良い」という、結婚に対する希望感の薄さが強く表れている。実のところヨーロッパ諸国でも特に両国は非婚カップルの割合が高く、結婚世帯を補完しているという社会情勢があり(スウェーデンではサムボ(カップル)と呼んでいる)、これが結婚観そのものへの興味関心の違いの一因となっているものと思われる。

↑ スウェーデンにおける法律婚カップル、サムボカップルの割合(内閣府「スウェーデンの家族と少子化対策への含意-スウェーデン家庭生活調査から-」より抜粋)
↑ スウェーデンにおける法律婚カップル、サムボカップルの割合(内閣府「スウェーデンの家族と少子化対策への含意-スウェーデン家庭生活調査から-」より抜粋)

なぜ結婚した方が良いのか、その理由とは

それではなぜ結婚した方が良いと思うのだろうか。結婚すべき・した方が良いと回答した人限定で、答えてもらった結果、次のような形となった。

画像
↑ 結婚(事実婚含む)した方が良い理由(複数回答、結婚すべき・した方が良いと回答した人限定)
↑ 結婚(事実婚含む)した方が良い理由(複数回答、結婚すべき・した方が良いと回答した人限定)

「精神的な安らぎの場」「愛情を感じる人と暮らせる」「自分の子供や家族を持てる」との意見は多数の国で多数派意見となっている。次いで「社会的信用・周囲との対等性」「生活上便利だから」などが続く。

特徴的な動きをいくつか拾うと、韓国では「精神的な安らぎ」「愛情を感じる人と暮らせる」がずば抜けて高い。「親から独立」は米英で、「経済的余裕」はアメリカ、「生活上便利」は米独スウェーデンで他国より高い。アメリカが結婚を合理的、独立精神的な意味合いで考えている節があることを示唆しているようだ。

日本では「自分の子供や家族を持てる」「親を安心させる・周囲の期待に応える」が他国よりも高い値が出ている。自身を固体として認識するのではなく、集団の中の一員として位置付ける傾向が強い、周囲との安定感を求める傾向にあることが反映された結果と評せる。他方「生活上便利」「経済的に余裕が出る」など、合理的視点から見たメリットとしての観点は、他国よりは低めにとどまっているのが興味深い。

結婚観は多分に若年層において重要視されるべき話で、今回の調査結果は国全体としても大いに参考になる。

特に日本の若年層で結婚に肯定的な人の多数が、「自分の子供や家族を持てる」「親を安心させる・周囲の期待に応える」点で、諸外国よりも強い認識を示していることは注目に値する。見方を変えればこれらの長所・理由をかなえさせる手を打つことで、結婚を肯定する人、そしてそれを実働に移せる人を増やす一手になると考えても良い。

行政・施策として何ができるか、何をなすべきか、上記グラフからは透けて見えるに違いない。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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