消費者物価指数は4月以降に2%が見えてくることも。エネルギー価格や食品などの値上げが要因に
21日に昨年12月の全国消費者物価指数が発表された。総合指数は前年同月比でプラス0.8%、日銀の物価目標となっている生鮮食品を除く総合指数は前年同月比でプラス0.5%、 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は前年同月比でマイナス0.7%となった。
品目別に見ると、原油高の影響などを受けてエネルギー全体で16.4%の上昇となった。エネルギー関連品目の値上げだけで指数を1.12ポイント押し上げた。
電気代は13.4%上がり、上昇幅は1981年3月の41.2%以来40年9カ月ぶりの大きさとなった。都市ガス代は13.7%、灯油は36.0%それぞれ上がった。
電気代とガス料金は2月まで値上がりが続くことが発表されている。原油先物価格は足下も上昇が続いており、3月以降も値上がりが続く可能性がある。
2020年7月に始まった観光需要喚起策「Go To トラベル」が一時停止している反動があり、宿泊料は44.0%上昇している。寄与度では指数を0.29ポイント押し下げている。
反対に通信料(携帯電話)がマイナス53.6%となっており、指数を1.48%ほど押し下げている。
単純に通信料のマイナス要因と宿泊料のプラス要因を除くと前年比プラス1.7%程度となる。携帯電話料金の引き下げによる影響は4月以降なくなってくる。
生鮮食品を除く食料は1.1%上昇した。調理カレーが13.2%、輸入牛肉が11.1%上がっていたが、食料品等の値上げはこれからが本格的となる。
食品メーカーの「キユーピー」は主な原料である食用油の価格が上昇しているとして、3月からマヨネーズやドレッシングなどの商品を値上げすると発表した。
日本製紙グループの日本製紙クレシアは、「スコッティ」や「クリネックス」といったブランドで展開するトイレットペーパーなどの家庭紙製品について、4月1日出荷分から10%以上値上げすると発表した。
宝ホールディングスは20日、傘下の宝酒造が製造している焼酎などを1~8%程度値上げすると発表した。原材料費や燃料費などが高騰しており、6月1日出荷分から実施する。
これらの値上げによる物価指数への影響はエネルギー価格ほどではないにしても、じわりじわりと指数に影響を与えることが予想される。
22日の日本経済新聞によるとボンカレーゴールドやミシュランタイヤなどの値上げも発表され、携帯電話料金の引き下げによる影響がなくなる4月以降は消費者物価指数(除く生鮮)の2%が見えてくることが予想される。
原材料費や燃料費などの上昇から企業は価格転嫁に動きつつあるというより、動かざるを得なくなっている。価格転嫁によって企業業績が回復し、従業員の給与に反映され、所得が伸びれば問題はないが、そうでなければ家計の負担は増加することになる。
物価が上昇し、それに応じて所得も伸びれば我々の生活への影響は限定的になることに加え、個人の預貯金が膨らんでいる日本では、物価に応じた利子も本来求められることになる。それは住宅ローンなどを抱えている人達には負担増となるものの、コストプッシュ型とはいえ、物価に応じた金利の形成というのが本来の姿ではなかろうか。