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【NHL初の中国公式戦】チケット代はフィギュアスケート中国大会の2倍!なのに主力選手は訪中せず!?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
上海とともに「NHLチャイナゲームス」が開催される中国の首都・北京(写真:アフロ)

 来月4日(北米時間=以下同じ)のレギュラーシーズン開幕まで、あと1か月あまりとなったNHLは、今月上旬から各チームのキャンプがスタート。

 さらに続いて16日のロサンゼルスでの試合を皮切りに、プレシーズンゲームが始まります。

 プレシーズンゲームは、プロ野球のオープン戦と同様に、序盤から中盤までは、レギュラーポジションを狙う若手選手らが生き残りを懸けてしのぎを削り、終盤が近づくと、各チームの主力選手たちのプレーが見られるようになっていきます。

▼普段は見られない試合も

 開幕ロースターの顔ぶれを決める目的から、若手選手たちを実戦で評価しようと、変則的な試合も組まれています。

 プレシーズンゲームのスケジュールを見ると、今月18日には、エドモントン オイラーズとカルガリー フレイムスが、ともにチームを二つに分けて、それぞれのホームアリーナで同時にプレシーズンゲームを開催。

 その翌日には、ナッシュビル プレデターズとフロリダ パンサーズが、ナッシュビルでダブルヘッダーに臨みます。

 このようにレギュラーシーズンでは見られない変則的な試合を組んで、多くの選手たちのプレーを評価していくのです。

▼史上初の「NHLチャイナゲームス」開催

 選手たちが繰り広げる生き残りを懸けた競争は、各チームのファンにとっても大きな注目点となりますが、今季のプレシーズンゲームで最も注目されるのは、史上初めてとなるNHLチャイナゲームスの開催!

 3月30日に当サイトで配信した記事のとおり、NHLのベッドマン コミッショナーが中国まで赴いて会見を開き、「ロサンゼルス キングス vs バンクーバー カナックス」のプレシーズンゲームを、上海と北京で開催すると発表。

 同記事で紹介したように、これまではチームが独自に中国で活動していましたが、NHLのオフィシャルスポンサーに中国企業が加わったり、KHL(ロシアを中心とするヨーロッパ最大のリーグ)のチームが中国に新設されるなどしたことから、遅れをとるな!とばかりに、NHLも中国進出へ舵を切った次第です。

▼アジアでは日本に続き2か国目

 NHLがアジアで公式戦を開催するのは、日本に続いて2か国目となります。

 

 記念すべき最初のカードは「長野オリンピック」の前年(1997年=大阪が2008年のオリンピック招致を目指していた頃)の秋に、東京で行われた「アナハイム マイティダックス(当時のチーム名) vs バンクーバー カナックス」戦。

NHL初の日本公式戦にやってきたティーム・セラニ(Photo : Jiro Kato)
NHL初の日本公式戦にやってきたティーム・セラニ(Photo : Jiro Kato)

 さらに、翌年(1998年)と2000年に合わせて3つのカード(各年2試合ずつ)が行われ、6チームが来日しました。

▼日本では開幕戦。中国はプレシーズンゲーム

 残念ながら、日本でのNHL公式戦は、回を重ねるごとにスタンドに空席が目立つようになり、2000年を最後に開催されなくなってしまいましたが、今秋のチャイナゲームスは「17季ぶりにアジアで開催されるNHLの公式戦」となります。

 しかし、日本での公式戦は、いずれも「レギュラーシーズンの開幕2連戦」だったのに対して、チャイナゲームスは「プレシーズンゲーム」となります。

▼主力選手は中国へ来ない!?

 さらに加えて、チャイナゲームスで気になる点は、訪中する選手の顔ぶれです。

 というのも、前述したブレシーズンゲームのスケジュールを見ると、チャイナゲームスが行われるのは21日(@上海)23日(@北京)ですが、ロサンゼルスは、18日(@アリゾナ)と22日(@アナハイム)に、バンクーバーも、20日(@カルガリー)と22日(@エドモントン)に、いずれもプレシーズンゲームが組まれています。

 つまりロサンゼルスも、バンクーバーも、最初に記したとおりチームを二分して、片方のチームは中国へ、もう一方のチームは北米で、プレシーズンゲームに臨むことになります。

▼スター選手の出場は不透明

 NHL主導のイベントとあって、さすがにマイナーリーグの若手選手だけで「チャイナゲームス」に挑むことはないでしょうが・・・。

 たとえば、ロサンゼルスでは、キャプテンのアンゼ・コピタや、プレーオフMVPに輝いた実績を誇る GKのジョナサン・クイック、バンクーバーでは、2000年の秋からチームの顔と呼ばれ続ける双子のセディン兄弟らの看板選手が、中国のファンの前でプレーするか否かは、まだ不透明だと言わざるを得ません。

▼チケット代はフィギュアスケートの2倍

 NHLのチャイナゲームスは、このような状況でありながら、チケット価格は強気な設定となっています。

 

 NHLと契約を結び、オフィシャルライセンスを持つ中国のチケット販売サイトでの正規価格を見ると、

 最も安いチケット → 160中国元およそ2680円@北京3690円@上海=記事公開時のレート)

 最も高いチケット → 1280元21470円

 お土産付きのプレミアムチケット → 1880元3万1530円

 参考までに、同じサイトが販売している「フィギュアスケート・グランプリシリーズ中国大会」(@北京)の正規価格を見ると、

 最も安いチケット → 80元1340円

 最も高いチケット → 580元9730円

というように、NHLのプレーシーズンゲームの半額以下の設定です。

▼中国でNHLを観戦したいですか?

 このような現状をご覧になって、最後に皆さんへ質問です。

「中国でNHLの公式戦を観戦したいですか?」

 3週間後に迫った「NHLチャイナゲームス」は、果たして成功裏に終わるのでしょうか?

 そして、二度目、三度目の公式戦も開催されるでしょうか?

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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