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同級生!?「燃えろいい女」ナツコと「いとしのエリー」の共通点とは

田中稲ライター(昭和歌謡・JPOP歌詞研究)

●1979年4月に「ザ・ベストテン」にランクインした「燃えろいい女」

 初夏である。初夏は、立夏(5月5日ころ)から梅雨入りまでらしい。夏本番を考えると、ここ数年の暑さのすさまじさ思い出しウンザリしなくはないが、それまでの限られた期間、「初夏」という言葉の美しさを楽しみたい。本当に魅力的な文字の並びだ。「初夏」!
 ちなみにファーストサマーウイカさんの本名が「初夏(ういか)」らしい。なんと風流な名前なのだろう! うらやましい!

 春、夏、秋、冬が入った名前はそれだけで物語が思い浮かぶ。初々しく可憐な春、少し寂しげでミステリアスな秋、どこか儚げで、支えたくなるような冬。

 夏は、生命力を感じる。初夏(ういか)もそうだし、歌でいえば、間違いなくツイストの大ヒット曲「燃えろいい女」の「ナツコ」だろう!

 この曲は1979年の4月5日にリリースされ、4月19日に5位で「ザ・ベストテン」に初ランクイン。季節としてはまだ春だったが、そこはさすがCMソング(資生堂の'79サマーキャンペーン「ナツコの夏」キャンペーン・ソング)。ワクワクをフライングで提供してくれた感じだ!

 余談だが、4月19日のベストテンは個人的に思い出深い。というのも、1位は、西城秀樹さんの「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」。この前の週の4月12日には9999点というとんでもない数字をたたき出していたのだ。

 私の初恋が西城秀樹さん、二番目に好きになったのがツイストのボーカル、世良公則さん。そして5月17日には、「燃えろいい女」が9週連続1位だった「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」を抜き、1位になるのである。好きな男性が繰り広げるトップ争い、今思い出しても萌える!

●「ココナツ」も思わせるカタカナ表記の「ナツコ」

「燃えろいい女」に話を戻そう。「ナツコ」はカタカナ表記が、熱帯の甘く香ばしい果実、ココナツを思わせ、夏の熱さ、太陽の明るさ、凛とした強さを思わせる。笑顔より気取ったまなざしが魅力。まぶしすぎる女の代名詞、それがナツコ!!

 これを、ボーカルの世良公則さんが「もっと燃えて俺の心を焼いてくれ!」とおねだりするように、マイクを振り回しつつ歌うものだから、伝わってくる情熱たるや半端ではない。当時、自分がチビッ子であることなどすっかり忘れ、素肌からかげろうが漂うようないい女、ナツコになった錯覚に陥った。小学生を惑わせる世良公則さん、デンジャラス! 

●「ナツコ」と「エリー」「ビューティフルネーム」が並んだランキング

 そして、奇遇にも「燃えろいい女」がヒットしている同時期、ランキングに、もう一人の女性がいた。その名は「エリー」。そう、サザンオールスターズの「いとしのエリー」である。エリーは可憐な名前だ。とても笑顔の良い人が思い浮かぶ。無邪気だがときに繊細、ウエットな気がする。

 ナツコとエリー、世に出された時期は同じということは、ナツコとエリーはイメージでいえば、同級生となるのだろうか。タイプの違う最高に魅力的なレディがランキングを盛り上げていた。しかも44年経った今も、ナツコもエリーも、多くの人に愛され続けている。エモい!

 名前とは本当に美しいし不思議。ぱっと歌詞に出てくるだけで、匂い立つような色気や風景のみずみずしさ、噂やバックボーンなどがリアルに想像できる記号だ。 

 ちなみに、「名前それは燃える命」と名前のすばらしさを歌ったゴダイゴの「ビューティフルネーム」がヒットしたのも、やっぱり1979年の4月~6月。同じ時期なのである。

 偶然なのだが、ゴダイゴが良いオチを付けたみたいで、とても微笑ましい。

ライター(昭和歌謡・JPOP歌詞研究)

Webを中心に、昭和歌謡・JPOP、ドラマ、懐かしのアイドル、世代研究、紅白歌合戦を中心に書いています。CREA WEB「田中稲の勝手に再ブーム」、8760bypostseven「懐かしエンタメ古今東西」連載中。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)。合同会社オフィステイクオーのメンバーとして、雑学本の執筆にも参加。大阪ナニワにて活動中です。

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