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5月25日は「情熱記念日」!西城秀樹「激しい恋」など、情熱系名曲が4曲もこの日にリリース

田中稲ライター(昭和歌謡・JPOP歌詞研究)

今日は朝から、なにやら心の奥からパワーがフツフツ燃えたぎって落ち着かない。そんな人は多いのではないだろうか――。それは、あなたのなかのヒデキが吠えているから。そう。今日、5月25日は「情熱記念日」なのだ! 

1973年「情熱の嵐」、1974年「激しい恋」、1975年「恋の暴走」、そして1978年「炎」と、ヒデキの超情熱系4曲が、この日にリリースされているのである!

 タイトルだけ並べてみても壮観。「お前が好きだ、愛してる!」という叫びが、ものすごい熱風に吹かれ飛び散り、日本中の女性の心をなぎ倒している、そんな図が思い浮かぶではないか。もし今日、いきなり無性に命を懸けた恋がしたくなったなら、ヒデキのせいである。

 4曲すべて、聴く側の情緒をまったく考慮せず情熱の嵐が押し寄せてくるシステムなので、気絶を覚悟で、1曲ずつみていこう。

無意識にヒデキコールをしてしまう「情熱の嵐」(作詞/たかたかし 作曲/鈴木邦彦)

この曲でヒデキデビューをしたという人も多い。名曲だからこそ、刷り込みはすごい。「君が望むなら」という歌い出しを聴くと、通勤途中の電車やバスの中であっても、無意識に「ヒデキ!」と声に出して叫んでしまう……。そんな深刻な後遺症に悩む人も多いという。かくいう私もその一人。その日のコンディションによっては、イントロの時点で、手が自然と口の横にいき、コールの準備をしていることすらある。

ああ、ヒデキの魅力にかかると、私なんてパブロフの犬……。

曲、表情、レコードジャケット、全てが強烈インパクト!「激しい恋」(作詞/安井かずみ 作曲/馬飼野康二)

「やめろと言われても!」という出だしがさっそく超ヒデキック!! この時点で名曲確定。このあと繰り出される片脚上げダンスで大ヒットが確定。「ぬおぉぉぉ」土佐叫び声が聞こえるような鬼気迫るジャケットで伝説が確定。まさに死角のない布陣! 
私はこの曲のジャケ写が大好きで、シールを買い、マイパソコンに貼っている(トップの画像がそれです)。おかげでパソコンはスペックが低く何度も壊れかけたにもかかわらず、「やめろと言われても……」とうなるように起動、復活を繰り返し、結果8年も持った。ヒデキパワーのおかげだと思っている。

歌詞の世界観とパフォーマンスのギャップに酔う!「恋の暴走」(作詞/安井かずみ 作曲/馬飼野康二)

人間、追い込まれると情緒がおかしくなり、ネジが吹っ飛んだように明るくなるという「極限あるある」。その様子を余すところなく表現した曲を探せ……と指令を受けたなら、私は静かにこの曲を提示するだろう。
歌詞だけ読むとバラードかと思う、絶望的で悲しい世界観。それを最高に彩り豊かなハッピーサウンドが鳴り響く中、ヒデキが超浮かれて歌うという、聴き手のメンタルをかき乱す「ギャップ歌唱法」がたまらない!

阿久悠きりきり舞い三部作の名曲「炎」(作詞/阿久悠 作曲/馬飼野康二)

ピンクレディーの「サウスポー」、山本リンダの「きりきり舞い」と並ぶ、阿久悠の「きりきり舞い三部作」として有名。

好きな人にきりきり舞いさせられている自分にイラつきながらも陶酔するヒデキの陶酔顔、情熱的な歌唱、炎のメラメラを全身で表現するようなアグレッシブな振り付けと三段で攻めてくるデンジャラスな一曲だ。

一番の高まりポイントは、「一生一度ならピエロも主役」と宣言するシーン。

ピエロも主役……(震)! ヤケッパチにも思えるこの発想の逆転! さすが「敗者の美学」を描かせたら天下一品の阿久悠氏である。もちろん、ピエロのハードルは高い。「ふっ、俺は恋に破れたピエロだぜ」と自嘲気味に言う人もいるが、全然ピエロでない場合が多い。そう。ピエロとはフラレたときの恥ずかしさをごまかすのに便利な用語でもあるのだ。

しかしこの「炎」は違う。歌うヒデキの表情を見てわかる。主人公は、マジでピエロになる覚悟だ!  イントロのドンドコドンドンドンと腹に来るパーカッションから不穏。序盤、ほぼ中腰で激しく横に揺れるという、地味にキッツイ振り付けもピエロのストレッチ!

畳みかけるように来る、サビの「ah ah ah!」の上半身のソリ、「知らされたからゥWA―――!」の激し過ぎるビブラート!

ハードルが高すぎる相手に恋をした男の右往左往が見え、そして確信できる。 ああ、彼は、この恋の戦いにコテンパンに負け、見事なピエロになる……と!

 最高だ、ヒデキ。いや、情熱記念日の今日は、あえていつも以上にアグレッシブに表現させてもらおう。

 ブラボー、情熱の化身、HIDEKI!!

 改めて、これら名曲が世に出た5月25日という日に、ブラボー乾杯グラッチェ……!

ライター(昭和歌謡・JPOP歌詞研究)

Webを中心に、昭和歌謡・JPOP、ドラマ、懐かしのアイドル、世代研究、紅白歌合戦を中心に書いています。CREA WEB「田中稲の勝手に再ブーム」、8760bypostseven「懐かしエンタメ古今東西」連載中。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)。合同会社オフィステイクオーのメンバーとして、雑学本の執筆にも参加。大阪ナニワにて活動中です。

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