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みずいろの雨、銀の雨、緑色、菫色。梅雨入りで探す歌詞の「雨の色」

田中稲ライター(昭和歌謡・JPOP歌詞研究)

日本各地、ジワジワと梅雨入りしている。50を過ぎると、朝から眠いしだるいし、気圧の乱れが命取りになる。おまけに湿気で髪の毛は命を持ったようにウネウネする。

ああ、早く終わってくれないかなあ、梅雨!! 梅雨明け測定値を見ると(下のリンクを参照ください)、どうやらあと1カ月くらい耐えなければならないようだ。ツライ。

【国土交通省気象庁 令和5年の梅雨入りと梅雨明け(速報値)】

しかし、ある人がこう言っていた。雨が多い時期だからこそ、ふと広がる青空、水たまりに映る虹、新緑が美しいのだと。

私もほんの少しでも雨を好きになりたい。そこで今回は歌に出てくる「雨の色」を追っていこうと思う。

「初恋」は緑色「雨のウェンズデイ」は菫色「銀の雨」は銀色

まずは村下孝蔵さんの名曲「初恋」。歌い出しに「五月雨は緑色」とある。茂る葉が雨にぬれると緑がより濃く鮮やかに見える。まさに景色が緑色に染まる季節だ。すばらしい! 初夏の季語には「緑雨(りょくう)」という言葉があるが、「緑色」と色を別で歌詞に置くことで、なんとも情緒が溢れ出る。

大瀧詠一さんが歌う「雨のウェンズデイ」で、作詞家、松本隆さんが描いた雨の色は「菫色(すみれいろ)」である。とても切ないけれど、淡い感動もある雨の色。

松山千春さんは「銀の雨」。金に届かない(成就しない)銀。しかも、冷ややかで、刺さりそうな鋭さを感じる色だ。それでいて、とてもきれいに一つ一つ輝くような。

「みずいろの雨」で連想するポール・モーリアの「恋はみずいろ」

八神純子さんが歌う「みずいろの雨」(作詞は三浦徳子さん)はストレート!「水色」だ。

「ああー、みずいろのっあめー!!」
というドラマチックなあのボーカル、何度カラオケで挑戦し自爆したことだろう。

ひらがな表記の「みずいろ」は、本当に包容力がある。この歌の他にポール・モーリアの「恋はみずいろ」や、あべ静江さんの「みずいろの手紙」という名曲もあり、自然と涙やせつない恋感情を連想できる。じっとりと重みがあり、せつなさや、悔しさ、後悔、いろんな感情が流されていく感じがする。うおおお!

見るそのときの気持ちによって、景色は彩りを変える。なんとすてきで儚いのか。

考えてみれば「梅雨」という漢字も風流である。ところが調べてみたら、ある一説では、中国ではこの時期の雨は、黴(カビ)の生えやすい時期の雨ということで「黴雨(ばいう)」と呼ばれていたそうだ。しかし、読みにくし語感もよくないので、同じ読みで季節に合った「梅」に変わり「梅雨」となった、というのである(諸説あり)。

いやもう変えて正解。カビより梅のほうがいいよ絶対! 「黴雨(ばいう)」のままだったら、すごく濁った色を想像し、今の100倍この季節が苦手になっていたことだろう。

代案として「梅」という字を提案した古の風流人、グッジョブ!

ライター(昭和歌謡・JPOP歌詞研究)

Webを中心に、昭和歌謡・JPOP、ドラマ、懐かしのアイドル、世代研究、紅白歌合戦を中心に書いています。CREA WEB「田中稲の勝手に再ブーム」、8760bypostseven「懐かしエンタメ古今東西」連載中。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)。合同会社オフィステイクオーのメンバーとして、雑学本の執筆にも参加。大阪ナニワにて活動中です。

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