インドで「800円スマホ」登場:2015年に設立された地場メーカーRinging Bellsから
インドの地場メーカーRinging Bellsから500ルピー(約800円)のスマートフォンが販売される。ついに10ドル以下のスマートフォンの登場である。Ringing Bellsから500ルピーで販売されるのは「Freedom 251」で3G対応のスマートフォンである。販売開始に伴って251ルピー(約400円)の半額セールを行っている。Rising Bellはインドの首都ニューデリー近くのノイダに2015年に設立されたばかりの新興企業だ。既に4Gスマートフォンを2,999ルピー(約4,800円)で販売している。
モディ首相主導の「Make in India」、大人気の地場メーカーのスマホ
インドでは「Maki in India」のスローガンで、モディ首相のイニシアティブの元、インドでの端末製造やアプリ開発などを積極的に推進している。これはスマートフォンや情報通信技術分野だけでなく、あらゆる産業でインドの技術力向上を目指そうとした取組みである。
インドのスマートフォン市場は、トップは韓国のサムスンで2015年第3四半期の出荷シェアは約24%だが、2位はインドのMicromaxでシェア16.7%、3位もインドのIntexで10.8%、4位は中国Lenovoで9.5%だが5位はインドのLavaが4.7%とインドの地場メーカーのシェアが高く、現地でもたくさん広告が出ており、人気も高い。地場メーカーの多くがインドに工場も設置しており、インド人の雇用創出にも貢献している。インドで生産した端末をインドで販売するので、輸入コストもかからないので、良い端末が手頃な価格で入手しやすい。Appleのような高い端末は、人気はあるが、高くて誰もが購入できる訳ではないので、インドでは大量に出荷されていない。
まだフィーチャーフォンの方が多いインド、その理由は価格
インドでは、携帯電話出荷のうち、スマートフォン出荷も増加しているが、まだフィーチャーフォンの出荷の方が多い。出荷全体の60%がフィーチャーフォンである。それはフィーチャーフォンの方が安いからである。
インドでは地場メーカーが台頭してきたことによってスマートフォンはだいぶ価格が下がってきているが、それでもまだ50ドルはする。多くのスマートフォンの価格は100ドル~200ドルである。ハイエンド端末は300~400ドルするものもある。一方でフィーチャーフォンは20ドル~50ドル前後で購入できる。さらにフィーチャーフォンもスマートフォンも中古端末が大量に流通しているので競争は非常に激しい。
インドでは、30ドル前後のFirefox OSを搭載したスマートフォンが登場していたが、2015年には地場メーカーDataWindから999ルピー(約1,600円)のスマートフォンが登場して、最安値だった。今回のRinging Bellsからの500ルピー(約800円)のスマートフォンは、それの半値である。低価格端末なので端末1台あたりの利益も決して大きくない。薄利多売の世界なので、グローバルメーカーは低価格端末には参入したがらない。
スマートフォンがここまで低価格が進むと、価格ではフィーチャーフォンよりも安くなってきている。インドでは、ますますスマートフォンの価格が安くなり、多くのインド人が利用できるようになった。それに伴ってFacebookなどの利用も進んでいる。一方でインドの田舎の方では今でもカーストの名残りなのか、携帯電話すら持っていない人もたくさんいる。