出会いの歳と交際期間、そして夫婦間の年齢差から見た日本の夫婦事情
日本の少子化問題に合わせて語られることが多い焦点の一つに、結婚に至るまでの男女間の関係が挙げられる。中期的な視点からその実情、さらには夫婦間の年齢差の動向を、国立社会保障・人口問題研究所が2016年9月に発表した、日本国の結婚や夫婦の出生力の動向などを長期的に調査・計量している「出生動向基本調査」の最新版となる「第15回出生動向基本調査」の調査結果から確認していく。
日本においては初婚年齢は年々上昇し、いわゆる晩婚化の様相を呈しつつある。「晩婚化」は「結婚時の年齢が上がる」ことを意味するが、その要因として「夫婦となる男女二人が付き合い始める機会(結婚に至る出会い)が遅くなる」「出会ってから結婚するまでの期間が長くなる(未結婚同棲、あるいは恋人同士としての付き合いの時期の長期化)」の二つが考えられる。今回はこれらの状況を確認できる各種値を見て行く。
まずは平均的な出会い年齢・初婚年齢について。回答対象が夫婦(の妻)で、問い合わせているのは「現時点における」配偶者である相手との出会い・結婚年齢であることに注意。
夫の平均出会い年齢で今世紀初頭までは若年化の動きがあったがそれも最近では上昇に転じており、それ以外は一貫して上昇傾向にある。特に夫の平均初婚年齢では目印の矢印の方向を変える必要があるほど、2005年以降のカーブの急勾配化=晩婚化の一因が加速化している(出会いが無ければ結婚もあり得ない)。出会い年齢が上昇しているのだから、初婚年齢も上昇して当然のように見えるが、それにしても前者に比べて後者の上昇カーブが急なのは気がかりな動き。
この疑問を解消するカギとなるのは、「出会い」から(そのまま付き合いが継続し)「結婚」に至るまでの期間を意味する「交際期間」の推移。
時代の流れと共に平均交際期間は大きく伸びる傾向にある。出会いの年齢が上昇するだけでなく、初婚年齢に加算される交際期間も伸びているのだから、晩婚化が加速度的な動きを見せるのも当然といえる。また、平均初婚年齢の上昇カーブが、夫よりも妻の方が急なため、結果として夫婦間の平均年齢差は縮まる傾向にある。直近ではいくぶん広まったが、この程度では誤差の範囲だろう。
つまり「晩婚化」は単純に「結婚年齢が上昇している」と見るよりは、「出会い年齢の上昇」と「交際期間の長期化」の双方が影響していると考えて良い。そして初婚年齢が上がれば、体力や身体的変化の事情から、当然妻の出産機会年数は短くなる。よって晩婚化の起因となる「出会い年齢の上昇」と「交際期間の長期化」は、間接的に少子化の要因の一つであることもまた事実ではある。
ちなみに夫婦全体としての「出会い年齢の上昇」と「交際期間の長期化」は、いわゆる「お見合い結婚」の比率低下が一因と考えられる。報告書には調査対象母集団全体以外に恋愛結婚による夫婦に限定した値も掲載されている。
差は縮まる動きを見せているが、これは全体に占めるお見合い結婚の比率が減少しているのが主要因。他方、「総数」が「恋愛結婚限定」を下回っているため、「お見合い結婚夫婦」がこれらより交際期間が短いのは一目瞭然。経年による全般的な交際期間の延長化と共に、お見合い結婚率の低下が、「全体として」の交際期間の延長化を後押ししたと考えて良いだろう。
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