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就活生の悩み:「面接で上手く話せるようになるにはどうすればいいですか?」

常見陽平千葉商科大学国際教養学部准教授/働き方評論家/社会格闘家
納得のいく内定に至るためには、面接で自分をさらけ出すことが大切です(写真:イメージマート)

 就活生からの相談より。「面接で上手く話せるようになるにはどうすればいいですか?」という悩みを抱える学生から毎年、相談を受ける。「上手く話せたのに落ちた」という声も。

 明日、3月1日は採用広報活動解禁日だ。ご存知のとおり、もうすでに就活は事実上スタートしており、一部の就職情報会社の調査では、2月1日時点で約2割の学生が内定を持っていると言われている。3月1日は、選考スタートの日だとみる人もいる。選考に向けて何をするべきかを考えてみよう。

 悩んでいる学生を否定するつもりはないが、実はこの悩み自体がやや本質とズレている。「面接で上手く話せること」は果たして採用基準に存在するのだろうか。もちろん、コミュニケーションに関する力、中でも発信力、傾聴力、会話力などは選考でも確認されるポイントではある。ただ「上手く話せるかどうか」が基準であるわけではない。たとえば、ある総合商社ではスマートに話せなくても、しどろもどろになっても、問いに真摯に答えようとしているかを問う。要するに、一見するとうまく答えていそうでも、話し方がうまくても、問いに答えようとしていなければ意味がない。

 おすすめのトレーニングがある。それは、スマホやZoomを活用した面接トレーニングだ。つまり、面接を録画し振り返りを行う。これを繰り返す。自撮りでもいいが、これを教職員や先輩、友人を巻き込んで行うと、メキメキと力がつく。動画は正直だ。話が噛み合っているか、わかりやすいかどうか、問いに答えきれているかどうかがわかる。正確に伝えようとして前置きが長くなっていないかなども確認できる。姿勢や態度などもチェックできる。

 このトレーニングで力をつけるためには、自分が就活生として面接にのぞむだけでなく、自分も面接官役をやってみることが大切だ。面接官の視点を体感できる。就活生がいかにスマートにわかりやすく回答しようとも、こちらが質問したことに答えきれなければ不満が募ることを体感できる。しどろもどろになっても、本質的に答えてくれた際の満足感なども味わうことができる。

 就活もだいぶ対面での説明会や選考が復活しつつあるが、今もまだオンライン面接となることがある。その対応のためにも、Zoomでの練習もしておこう。最新の機材で、ネットワーク環境がよい状態でも何らかのトラブルが起こりうる。自宅で受ける際のよいアングルの確認もしておくべきだ。車や電車の音が聞こえる環境の場合は、イヤホン&マイクなどを活用しよう。光の確認もしておきたい。また、これを機会に同居している家族に面接中であることを伝える紙なども用意しておこう。何かあったときに対応するための代替機も可能であれば用意しておきたい。

これから選考ラッシュが続くだろう。やりながら慣れること、走りながら考えることも大切だ。ただ、その前に、スマホ、Zoomを活用して自分の面接を見直そう。

千葉商科大学国際教養学部准教授/働き方評論家/社会格闘家

1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。 リクルート、バンダイ、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。2020年4月より准教授。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など。

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