サイフォン世界2位!UCCジャパン・中井千香子さんインタビュー「コーヒーの楽しさをシェアしたい」
日本安全食料料理協会(JSFCA)認定のコーヒーソムリエKazuです。
2023年9月27日(水)〜30日(土)、東京ビッグサイトにてアジア最大級のスペシャルティコーヒーイベント「SCAJ ワールド スペシャルティコーヒー カンファレンス アンド エキシビション 2023(SCAJ2023)」が開催されたのが記憶に新しいなのではないでしょうか。
併せて、国内外から招待される著名なバリスタやロースターが集結したSCAJ2023では競技会も開催され「ワールド サイフォニスト チャンピオンシップ2023(WSC2023)」も実施されました。
このようなコーヒーの抽出技術を競う大会で、日本代表として何度も世界大会に出場している女性がいることをご存知でしょうか。
その女性とは「ワールド サイフォニスト チャンピオンシップ2023(WSC2023)」にて、世界2位に輝いたUCCコーヒーアカデミー専任講師・中井千香子さんです。
この度、筆者は「UCCコーヒーアカデミー東京校」にて、中井さんに取材をさせていただきました。
今回は、UCCコーヒーアカデミー専任講師・中井千香子さんに「ワールド サイフォニスト チャンピオンシップ2023(WSC2023)」の心境やコーヒーのおもしろさ・楽しさ、これから抽出器具を用いてコーヒーを始める方へのアドバイスなどをお聞きしました。
・インタビュアー:コーヒーソムリエKazu(筆者)
・インタビュイー:UCCコーヒーアカデミー専任講師・中井千香子さん
・サポート:UCCジャパン株式会社コーポレートコミュニケーション室様
UCCコーヒーアカデミー専任講師・中井千香子さんってどんな人?
UCCコーヒーアカデミー専任講師・中井千香子さんは、コーヒーの競技会で活躍するすごい方なのです。
これまで出場された競技会の輝かしい実績は、以下のとおりです。
・ジャパンブリューワーズカップ(JBrC)2018 優勝
・ワールドブリューワーズカップ(WBrC2019) ファイナリスト
・ジャパンブリューワーズカップ(JBrC)2019, 2023-24 ファイナリスト
・ジャパンサイフォニストチャンピオンシップ(JSC2019) 優勝
・ワールドサイフォニストチャンピオンシップ(WSC2023) 準優勝
※ジャパンブリューワーズカップ(JBrC)とは、一般社団法人日本スペシャルティコーヒー協会(以下、SCAJ)が主催.するコーヒーを抽出する競技会です。
ペーパードリップ、ネルドリップ、フレンチプレス、エアロプレスなど、機械的動力を伴わない手動の器具を用いて抽出技術を競います。
この大会で中井さんは、日本チャンピオンの経験があるということです。
サイフォンの大会でも世界2位に
さらにサイフォンの抽出技術を競う大会では、日本チャンピオン、そして世界2位となった経験があります。
いわば、機械的動力を伴わない手動の器具とサイフォンの二刀流であり、世界大会にも出場されているコーヒーのプロフェッショナルなのです!
今回は、UCCコーヒーアカデミー専任講師・中井千香子さんにインタビューさせていただきましたので、その様子をご覧ください。
UCCコーヒーアカデミー東京校にてスペシャルインタビュー
UCCコーヒーアカデミー東京校でインタビューをさせていただきました。
サイフォン世界2位入となった直後の感想
コーヒーソムリエKazu「ワールドサイフォニストチャンピオンシップ2023(WSC2023)」2位入賞決まった直後の率直な感想を教えていただけますか?」
中井さん「競技会は15分以内で競技を終わらさないといけないので、15分を超えると減点になります。なので、まずはそこがしっかり収まってよかったなと思っています。実はトラブルがあって”タイマーのスタートが遅れてしまっていました”と後で知らされました。」
コーヒーソムリエKazu「そのようなアクシデントもあったのですね!しっかり時間に収まってよかったです。」
悔しい反面、2位の自分も認めてあげたい
コーヒーソムリエKazu「映像で見させていただきた際、2位の発表があったときは嬉しさよりも悔しいような表情をされていたようにも見えました。」
中井さん「コロナ前はジャパンブリュワーズカップ(JBrC)の競技会を含め、2位で終わることが多かったので、世界大会が終わった直後はまた2位かと思いました。やはり、1位を目指してやってきたので悔しい気持ちもありましたが、振り返ってみると、2位はすごいことだと思いましたし、自分を認めてあげてもいいんじゃないのかなという気持ちもあります。また、一緒にチームとしてがんばってきたメンバーがいるので、そこも含めて喜ぶべきなのかなと思っています。」
中井さん「悔しそうでしたか?」と笑顔で筆者に聞いてくださったので、緊迫した空気が少し和んだようにも感じた瞬間でした。
世界大会で堂々たるプレゼンテーションを披露した中井さん
コーヒーソムリエKazu「何度も大きな大会に出られていて、ずっとご活躍されているので優勝は近いと感じております。また、プレゼンテーションも素敵でジャッジの方へ”みなさんどうぞ楽しんでください”というふうな自信に満ち溢れた姿がとても印象的でした。」
中井さん「本大会は世界大会なので英語でプレゼンテーションを行うので、ジャッジに日本語だったらこう伝えるけど、英語だったらこういうふうに伝えるなど、いろいろ考えていました。その中で今回はアジア圏の人が多く、どう伝えたらいいのかということで、伝え方についてもしっかり考えていました。
また、Kazuさんがおっしゃったように”どうぞ楽しんでください”というのが私のプレゼンテーションの中で”一番の醍醐味”であり、そこにフォーカスしたいなってずっと思ってました。競技会ではオーディエンスの方に楽しんでほしいという思いが強くあったので、私のプレゼンテーションがそのように見えていたのなら嬉しいです!」
トップバッターでその実力を発揮する
コーヒーソムリエKazu「堂々とプレゼンされていたので緊張されていない印象を受けましたが、そのときの心境をお聞きしたいです。」
中井さん「1番バッターだったので、めちゃくちゃ緊張しましたよ〜。」と緊張されていたそうですが、これまでの経験などもあり、世界大会では笑顔を絶やさずその持ち味を十分に発揮。
ワールド サイフォニスト チャンピオンシップ(WSC)の採点方法について
ワールド サイフォニスト チャンピオンシップ2023(WSC2023)」の率直な感想をお聞きしたあとは、本大会はどのような採点方法だったのかをお聞きした。
中井さん「競技会の内容やルールは毎年同じではなく、ブラッシュアップされるので、今年(2023年)はと思っていただければと思います。まずは、味わいです。サイフォンの競技会では、3杯のブレンドコーヒーと、3杯のシグネチャードリンクを作り、ジャッジが味わいを評価します。あとは、なぜそのコーヒーを選んだのか、楽しんでもらえたのかなど、コーヒー体験につながるような内容も採点されます。その他、カスタマーサービススキル、安心感、スムーズな流れだったのか、器具の扱いなども審査の対象です。清潔感などもジャッジされます。
あとは、私の横にいらっしゃった2人のジャッジは、コーヒーをつくるテクニカル面をジャッジしています。
コーヒー豆も単に好みで選んでいるのではなく、競技会で評価されるポイントを押さえながら、評価基準を意識しながら選びました。ただ、味わいについての採点は高い傾向です。」
コーヒーソムリエKazu「たとえば、プレゼンテーションの中でたくさん噛んでしまったりすると減点対象になるのでしょうか?」
中井さん「少しぐらいなら影響はないかもしれないですが、心配されるような緊張が伝わったりすると、可能性もなくはないです。」
短期留学で身につけた英語が大会で活かされる
コーヒーソムリエKazu「「WSC2023」の映像を見させてただきまして、英語の発音がとても上手だったのですが、もとから英語は得意だったのでしょうか?」
中井さん「いえ、UCCには海外にも支社がありまして、社内の短期留学のようなプログラムがあり、コロナ前にフィリピンへ行きました。大変だったのですが、現地でコーヒーに触れながら、英語も勉強できる環境だったので、世界大会にも活かすことができたと思ってます。また、世界大会に出ることによって海外の方と話す機会も増えたので、英語が上達したというのもあります。」
大会はコロナにより、4年越しの開催に
コーヒーソムリエKazu「新型コロナウイルスの影響で大会が延期になり、4年越しの大会となりましたが、この長い期間、どのような心境でどのような準備をされていたのか教えていただきたいです。」
中井さん「はい、この期間は自分に何ができるのかを考えたときに、選手ではなくジャッジをしてみようと思い、審査員をしたり、オンラインを活用したりしていましたが、とにかくコーヒーを楽しみたかったので、いろいろなことにチャンレジしていました。」
新たな情報やトレンドを求めることがモチベーションにつながった
コーヒーソムリエKazu「延期が重なり、モチベーションが下がったりしたことはございましたでしょうか?」
中井さん「競技に携わっていると、新しい情報を得る(つまり、コーヒー業界のトレンドや流れをいち早くつかんでいく、または発信していく)必要があるので、それが楽しく、こういうやり方があったんだなとか、新しい発見や驚きもあるので、それがモチベーションにつながっています。もちろん競技会のための練習も大変ですけど、やめたいと思ったことがありません。」
世界大会以外のお話も伺った
筆者は、世界大会で活躍する中井さんは、日常ではどのようなコーヒーを飲んでいるのか気になっていたので聞いてみました。
中井さん「日常は普通にペットボトルのラテや缶コーヒーなども飲みます。新商品が発売されたり、リニューアルされると気になったりするので色々飲んでます。あと、後ろに置いているカプセル式ドリップコーヒーマシンUCCのコーヒーマシン「YOUBI」の抽出レシピなども監修させていただいてるので、マシーンで淹れて飲んだりもしています。コーヒー以外にも紅茶も飲みますし、お酒も好きなので日本酒も飲みますよ。」
コーヒーソムリエKazu「カフェ巡りをすることもございますか?」
中井さん「日常は普通にペットボトルのラテや缶コーヒーなども飲みます。新商品やリニューアルされると気になったりするので普通に色々飲んでます。あと、後ろに置いているUCCコーヒーマシン「YOUBI」のレシピなども監修させていただいてるので、マシーンで淹れて飲んだりもしています。コーヒー以外にも紅茶も飲みますし、お酒も好きなので日本酒も飲みますよ。」
コーヒーソムリエKazu「カフェ巡りをすることもございますか?」
中井さん「全然行きます。ただ、お仕事と思わず、お客さまとしてリラックスしながらコーヒーを楽しんでいます。店員さんに話しかけられる場合は、使っている器具などを聞いたりなど、会話することもあります。」
好きになったきっかけは「ケニア」のコーヒー
コーヒーソムリエKazu「ご自身のお気に入りのコーヒーを教えていただけますか?」
中井さん「いつもお伺いされるのですが、私がコーヒー好きなったきっかけはケニアです。もちろん、それ以外も好きですが。コーヒーショップではたらき始めて初めて飲んだのがケニアでした。それまでコーヒーは苦くて大人の味というイメージがあったのですが、ケニアのコーヒーはジューシーかつフルーティな味わいを感じたので”これコーヒーなの?”という驚きとともに好きになったきっかけではありました。」
インタビュー中、筆者にも優しく言葉をかけてくださった中井さん
ずっと緊張をしていた筆者ですが、ここで中井さんからも筆者に質問をしていただいた場面もありました。
中井さん「Kazuさんはお好きなコーヒーはありますか?」
コーヒーソムリエKazu「どちらかと言えば、深煎りが好きでして、産地ではケニアやエチオピア、ブラジル、グアテマラ、ニカラグアなど、なんでも好きになっていきました。なので1周回ってどれが好きなのかわからなくなっています(笑)」
中井さん「一緒です。(笑)」
広報様と3名で笑いが起きたので、一瞬、筆者の緊張がほぐれたのを覚えています。
味わいの表現とフードペアリングについて
コーヒーソムリエKazu「大会の様子を映像で見させていただいた際に、トロピカルフルーツやガバなど、味わいの表現がバリュエーション豊富ですごいと思いました!」
中井さん「実際にフルーツが入っているわけではないですが、コーヒーを想像する1つの体験として、そこは詳しく表現しようと意識した点ではありました。」
コーヒーソムリエKazu「フードペアリングのアドバイス・おすすめが教えていただけますでしょうか?」
中井さん「コーヒーはコクや濃厚さが違ったりするかと思います。なのでポイントとしては、同じ濃厚さを合わせるのも1つの方法です。たとえば、生クリームたっぷりのショートケーキであれば、コクのある深煎りが合うと思います。コクのある生クリームとコクのある深煎りコーヒーは相性ピッタリです。また、エチオピアのベリー系のフルーティなコーヒーには、ベリー系のフルーツがのせられた洋菓子など、似たものを組み合わせるのも1つの方法です。」
これからコーヒーを始める方へのアドバイス
コーヒーソムリエKazu「これから抽出器具を用いてコーヒーを始める方にアドバイスをいただければ嬉しいです」
中井さん「まずは100円ショップで販売されているコーヒー器具でも良いですし、マグカップにドリッパー、キッチンスケール(コーヒー用でなくてもOK)などがあれば美味しいコーヒーを飲むことができます。UCCコーヒーアカデミー公式のInstagramでも100均シリーズをやったこともありまして、普通においしくできます。もちろん、コーヒー器具が不要なドリップバッグを使用してお湯を注ぐだけでも美味しくできます。」
コーヒーソムリエKazu「初心者の方でもサイフォンはむずかしいですか?」
中井さん「器具の価格はハンドドリップより少し高くなってしまうのですが、手順など作り方を覚えてしまえば簡単です。UCCコーヒーアカデミーのベーシックコースでもドリップやサイフォン、コーヒープレスなど、さまざまな器具を用いたセミナーなどもあるので、お気軽にご参加いただければと思います。」
コーヒーの楽しさをみなさんにシェアしたい
コーヒーソムリエKazu「今後の目標や活動、お考えになっってることを教えていたただけますでしょうか?」
中井さん「コーヒーのおもしろさや楽しさを自分のものだけにするのはもったいないと思ってまして、みなさんにシェアしたいですし、世界大会にも出ることができましたので、日本にとどまらず、世界に出ていくことでいろんな人の技術を知れてめちゃくちゃおもしろいので、競技会はチャンスがあればまた出たいです。初めて出た頃と今では抽出器具や技術なども進化してますし、淹れ方のスタンダードも変わっているので、みなさんにそういったこともシェアしていきたいという思いがあります。
コーヒーソムリエKazu「この度は、お忙しい中、たくさんお話いただきましてありがとうございました!とても勉強になりました!」
中井さん・広報様「こちらこそありがとうございました!」
今回の取材で中井さんはコーヒーを本当に楽しまれていて、それをみなさんにシェアしたいという思いがとても印象的でした。
コーヒーを抽出する技術だけでなく、その人間性にも多くのお客様やファンを魅了する素敵な方なので、筆者は今後の活躍も楽しみにしています。
取材協力:UCCコーヒーアカデミー東京校
東京都港区赤坂8-5-26 住友不動産青山ビル西館1F
受付時間:火~土曜日 10:00~18:00(祝日・年末年始は除く)
アクセス:青山一丁目駅(銀座線・半蔵門線・大江戸線)徒歩3分、乃木坂駅(千代田線)徒歩5分
参考サイト
UCCジャパン株式会社公式サイト
上記の記事を参考にしながら、コーヒーライフの第一歩につながれば幸いです。
※記事内の情報は執筆時のものになります。
※試飲についてはご提供いただきました。撮影や写真掲載など、すべて許可をいただいています。本記事制作はガイドラインに基づき公平中立に制作しています。