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4月15日開始「東京ディズニーランド40周年」新パレードの注目点を深掘り

山口有次桜美林大学ビジネスマネジメント学群教授
出典:筆者撮影。東京ディズニーランド40周年の新パレードが4月15日に始まる

東京ディズニーランド40周年イベントの目玉「ディズニー・ハーモニー・イン・カラー」

 東京ディズニーランドがオープンした1983年4月15日から40周年を迎え、アニバーサリーイベント「東京ディズニーリゾート40周年“ドリームゴーラウンド”」が4月15日から始まる(来年3月末まで実施予定)。両パークにおける各種エンターテイメントプログラムのほか、祝祭感あふれるデコレーション、スペシャルグッズやスペシャルメニューの導入など、大きな盛り上がりを見せることは間違いない。

 この主役である東京ディズニーランドの目玉は、5年ぶりに新しく生まれ変わるデイタイムパレード「ディズニー・ハーモニー・イン・カラー」である。“色あざやかな、ハーモニーの世界へ”をテーマに、ディズニー映画やディズニー&ピクサー映画の仲間たちの色とりどりの夢や、わくわくする冒険や勇気、家族のきずなや友情の物語がカラフルに表現される。

35周年と40周年のパレード比較、ダンサーが久しぶりに戻ってきた雰囲気に注目

 2018年4月15日に始まった「東京ディズニーリゾート35周年“Happiest Celebration!”」のデイタイムパレード「ドリーミング・アップ!」は、当初2019年3月25日までの予定であったが、結局2023年4月9日まで約5年間続けられた。その意味でも、待望の新パレードである。

 公演時間はこれまでと同じ約45分であり、出演キャラクター約55人、ダンサー数を含めた総勢140人という規模も35周年と変わらない(図表1)。フロート台数はこれまでの13 台から12台になり、一部キャラクターの特性にあわせ小粒な車のフロートが増えた印象はあるが、全体的にみれば大きな差はない。だが、何といっても、コロナ禍の影響で配置されなくなったダンサーが久しぶりにパレードに戻ったことで、やはり活気に満ちて雰囲気が大変よい。

図表1 東京ディズニーランド周年パレードの出演者数の推移

出典:大川みさき「東京ディズニーランドの周年イベント・シーズンイベントとパレード観覧者数」2013年度桜美林大学卒業論文とオリエンタルランド広報資料を基に筆者作成
出典:大川みさき「東京ディズニーランドの周年イベント・シーズンイベントとパレード観覧者数」2013年度桜美林大学卒業論文とオリエンタルランド広報資料を基に筆者作成

ディズニー&ピクサー映画のキャラクターと新登場キャラクターに注目

 最も注目すべき変化は、パレードに登場するキャラクターと、その順番である(図表2)。

 特に今回はディズニー&ピクサー映画をクローズアップし、『カールじいさんの空飛ぶ家』『リメンバー・ミー』『インクレディブル・ファミリー』『トイ・ストーリー』のキャラクターが前半から連続して登場する点は見どころである。これは、ディズニー&ピクサー映画好きには大きなインパクトが見込まれる。

 そして、ディズニー映画『ズートピア』のサブキャラクターのクロウハウザー、『シュガー・ラッシュ』の両主役ヴァネロペとラルフ、『ベイマックス』の仲間たちハニー・レモン、フレッド、ワサビ、ゴーゴー・トマゴの新登場である。35周年の「ドリーミング・アップ!」ではベイマックスがヒロを乗せて飛行するフロートが初登場したが、今回はサブキャラクターを拡充させている。すなわち、キャラクターに多様性と奥行きを持たせ、ディズニー映画やディズニー&ピクサー映画に詳しいファンを楽しませようと工夫している。

 また、東京ディズニーランドのエンターテイメントプログラム初登場のキャラクターも複数あり、これも注目したいところである。

図表2 東京ディズニーランド周年記念パレードのフロートと登場キャラクターの順番

(下図に続く)
(下図に続く)

出典:筆者独自作成。初登場キャラクターは赤字、新パレードはディズニー&ピクサー映画をオレンジ色で表示。
出典:筆者独自作成。初登場キャラクターは赤字、新パレードはディズニー&ピクサー映画をオレンジ色で表示。

新パレードから将来的なパークの発展可能性に注目

 また、「ドリーミング・アップ!」のベイマックス新登場は、2020年4月15日オープン予定であった(コロナ禍の影響で2020年9月28日オープンした)新アトラクション「ベイマックスのハッピーライド」誕生につながっていた。ディズニー映画の興行収入ランキングの上位作品は、ほとんどがショーもしくはパレードに展開されている。そして、ディズニーテーマパークでは歴代、人気映画のキャラクターが初めにパレードやショーに登場し、その後にライドアトラクション化されるケースがほとんどである。その意味で、新パレードから、将来のパークの発展可能性を想像して楽しむことができる。

ディズニープリンセスの構成とミッキー&フレンズの登場位置に注目

 定番的な人気のディズニープリンセスは、メリダが歩いて堂々たる先陣を切り、モアナ、ラプンツェル、ポカホンタスがフロートで登場し、シンデレラとベル、ジャスミンはそれぞれ王子とペアで歩いて登場するのも演出が巧みである。

 ミッキーマウスやミニーマウスなどのミッキー&フレンズが登場する順番にも注目したい。35周年の「ドリーミング・アップ!」は、主役のミッキーマウスが真っ先に登場し、中盤あたりにミニーマウスやチップとデールが配置され、後半にドナルドダックとデイジーダックが登場した。それに対して40周年の新パレードは、ミッキーマウス、ミニーマウス、ドナルドダック、デイジーダック、グーフィー、プルート、チップ、デールが終盤に一斉に登場する。目新しいディズニー&ピクサー映画を前面に出しながら、ディズニーランドの主役であるミッキー&フレンドでトリを飾ろうとする意図を読み取れる。こうしたディズニーキャラクターの全体構成における登場位置にも注目してほしい。

注目点満載・見応え十分な新パレード

 5年ぶりに生まれ変わるデイタイムパレード「ディズニー・ハーモニー・イン・カラー」は注目点が多く、見応え充分であり、さらに、将来的なパークの発展可能性を予感させるものとなっている。40周年イベントの盛況とパークのさらなる発展に期待したい。

参考文献:

  • 大川みさき「東京ディズニーランドの周年イベント・シーズンイベントとパレード観覧者数」2013年度桜美林大学卒業論文、2014年1月
  • 柴野遼雅「ディズニー映画とアトラクションの関係性」2022年度桜美林大学卒業論文、2023年1月
桜美林大学ビジネスマネジメント学群教授

早稲田大学大学院博士課程修了。博士(工学)。2006年より桜美林大学ビジネスマネジメント学群助教授、准教授を経て、2009年より現職。専門分野は、レジャー産業、レジャー施設、レジャー活動。1990年から『レジャー白書』の執筆に携わる。近年はアジア諸国のレジャー活動状況調査を実施し発表。単著『新 ディズニーランドの空間科学 夢と魔法の王国のつくり方』『観光・レジャー施設の集客戦略 利用者行動からみた“人を呼ぶ魅力的な空間づくり”』、共著『「おもてなし」を考える 余暇学と観光学による多面的検討』『観光経営学』『観光学全集 観光行動論』等。レジャー施設に関する論文多数。

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