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ドイツ軍 移動型マシンガン『ゲレオン』開発:敵地での「おとり」から銃撃・偵察・監視まで

佐藤仁学術研究員・著述家
(ドイツ連邦軍提供)

ドイツ連邦軍は移動型マシンガンを開発した。ドレスデンの陸軍学校で試験している様子の動画も公開している。マシンガン、カメラ、センサーを搭載して遠隔地からタブレットで操作ができるし、センサーが障害物などを察知すると自動で動くこともできる。名前は「ゲレオン」で軍の聖人ゲレオンから取っている。敵地の茂みに隠れて敵を認識すると銃撃ができる。戦地で「おとり」にもなる。また敵地の偵察や監視にも活用できる。

▼ドイツ連邦軍が開発した移動型マシンガン「ゲレオン」

偵察、監視、おとりには軍人よりもロボット

AI技術の発展とロボット技術の向上によって、軍事でのロボット活用は進んでいる。ロボットは人間よりも3D業務(Dangerous:危険な、Dirty:汚い、Dull:退屈な)に優れている。疲れることもないし24時間稼働できるし、壊れたら代わりの軍事ロボットを持って来ればよい。特に国境警備や偵察・監視は3D業務の典型であり、人間の軍人よりもロボットの方が適している。人間の軍人と違ってロボットは1日に24時間、1週間に7日間休むことなく働ける。さらに人間の軍人のように給料を払わなくても良いし、さぼらないし、文句も言わない。

また無人の軍事ロボットやドローンを積極的に軍事分野で導入することによって、軍人の人間が戦場で死ぬリスクが低減される。そうなると、軍人の人間の安全保障は確保されるようになる。戦場での偵察・監視、そして敵地での「おとり」には人間の軍人よりもロボットの方が適している。

一方で、戦場の無人化が進むとともに「キラーロボット」と称される人間の判断を介さないで攻撃を行う自律型殺傷兵器が開発されようとしている。人間の判断を介さないで標的を攻撃することが非倫理的・非道徳的であるということから国際NGOや世界30か国が自律型殺傷兵器の開発と使用には反対している。ロシアやアメリカ、イスラエルなどは反対していないので、このように積極的に軍事分野での自律化を推進しようとしている。

(ドイツ連邦軍提供)
(ドイツ連邦軍提供)

(ドイツ連邦軍提供)
(ドイツ連邦軍提供)

(ドイツ連邦軍提供)
(ドイツ連邦軍提供)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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