国連WFP、ヨルダン最大のシリア難民キャンプで「虹彩認証技術」を食糧支援に活用
国連WFPは、瞳の虹彩を読み取ることによって買い物の清算ができる「虹彩認証支払いシステム」を、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)との協力の下、 ヨルダンのザータリ難民キャンプで導入した。「虹彩(こうさい)」とは目で色のついた部分である。これにより76,000人のシリア難民が、現金や食糧引換券、デビットカードの代わりに、瞳を読み込ませることによって食品を購入できるようになった。
瞬きするだけで食糧購入
瞬きをするだけで食糧支援を受けられる「虹彩認証支払いシステム」は2016年2月にヨルダンのキング・アブドゥラ公園難民キャンプで、人道支援史上、初めて導入された。そして2016年4月には、ヨルダンアズラックの難民キャンプでも使われるようになった。これでお金を持たなくても買い物ができるようになる。事前に虹彩を登録しておく必要があり、店舗でカメラが瞳の虹彩を読みとると、中東決算システム経由で自動的にUNHCRの難民登録データに情報を照会し本人確認を行い、ヨルダンアリ銀行に購入者の食糧支援の残額を確認後、支払処理が行われる。日常生活においてカードや財布などを持ち歩く必要がなくなり決済は数秒で完了するようだが、銀行に残高がないと購入はできないようだ。
ザータリ難民キャンプで暮らすハナ・ヘラーキさんは「カードをうっかり家に忘れたりなくしたりしてしまっても、もう心配する必要がありません。そばを通りがかったついでに店に立ち寄って、切れている食材を買うことができる」とコメント。このシステムの最大の利点は、便利であることだと話している。収容人数6万人のザータリ難民キャンプは2012年7月に設立され、一時は10万人以上の難民が生活していたが、現在でもシリアからの難民約8万人が生活しているようだ。
国連WFPヨルダン事務所長のマジード・ヤヒア氏は「虹彩認証支払いシステムは大きな成果を上げています。この画期的な技術を用いて国連WFPそして連携機関が、ヨルダン最大のキャンプでシリア難民を支援できることはとても喜ばしいことです。この技術は、ヨルダンに暮らすシリア難民たちの買い物のあり方を大きく変えました。より簡単に、より安全に買い物ができ、また支援金の使われ方の透明性も高めることができるようになりました」とコメントしている。