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次の日銀の追加利上げは12月との予想

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 QUICKが2日発表した8月の債券月次調査によると、日銀が追加利上げに踏み切るのは「2024年12月」との予想が最も多かった(2日付日本経済新聞)。

 これには意外感があった。自分の日銀の政策変更予測と合致していたためである。過去の予測では私は少数派に属していた。

 QUICKの調査結果からは、次の日銀の利上げの時期について、9月が1人、10月が5人、12月が53人、2025年1月が35人、3月が6人、4月が5人、6月が3人、7月が1人、10月が1人となっていた(合計110人)。

 日銀は2024年3月にマイナス金利政策と長期金利コントロールを解除した。そして7月に政策金利を0.25%に引き上げた。

 これから窺えることは、ひとつは展望レポートが発表されるタイミングではなかったということ。

 実は場合によると6月の会合での利上げの可能性もあったのではと読んでいた。しかし、6月は国債減額について7月に正式決定することを決定していた。そして、それは金融政策と切り離して行うことも言及した。

 7月は国債買入減額と利上げの両方を決めるのは無理との見方も出ていた。しかし金融政策として決めるべきものは利上げの有無であり、国債買入減額は市場参加者の意見を聞いた上で、ある程度の規模については会合までにすり合わせていたのではなかろうか。

 3月から7月と4か月かけての利上げ。ただし、3月は実質的に0.2%の利上げ(マイナス0.1%からプラス0.1%)、7月は実質的に0.15%の利上げ(0.1%から0.25%)であった。

 次回の利上げは、0.25%から0.5%への利上げが予想される。過去2回に比べると幅がやや拡がる。このため時間を少しかけて、2か月後の9月や3か月後の10月ではなく、5か月後の12月では、との見方はやや根拠は薄いか。

 ここは政治日程を意識する必要があろう。

 9月の自民党総裁選、新政権の発足のタイミング、さらに衆院選の可能性、そして米大統領選挙の行方などを確認した上での、12月の会合での利上げというのが私の予想の根拠となっている。

 植田総裁発言などから、利上げは急いでいるわけではないが、中立金利に向けて淡々と行うことが予想される。できれば年内に大きな節目ともなる政策金利0.5%への引き上げを行い、来年中に1%台への引き上げを検討しているのではないかとみている。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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