Yahoo!ニュース

3試合で見えたW杯本大会登録メンバー! 森保監督が描く23+3名は?【ガーナ戦出場選手採点&寸評】

中山淳サッカージャーナリスト/フットボールライフ・ゼロ発行人
(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

この3試合の選手起用が序列を示す

 カタールW杯本番までに予定されている強化試合6試合のうち、3試合目となったガーナ戦。日本は、山根、三笘、久保、前田のゴールによって、4-1で快勝した。

 ただし、アフリカ選手権予選2試合を戦った直後に、中央アフリカ共和国からの長距離移動を強いられ、試合3日前に来日したガーナは、故障により主力数名が離脱していた。布陣も、アッド監督が就任してから初めて採用した苦肉の3-5-2(5-3-2)。

 それらの要素を考慮すると、日本にとって本大会を想定した収穫と課題を見つけ出すには難しい対戦相手だったと言わざるを得ない。実際、パフォーマンス自体も低かった。

 ただ、ここまでの3試合(パラグアイ戦、ブラジル戦、ガーナ戦)を戦って見えてきたことは、現在の森保監督の頭の中にあるW杯登録メンバー23人、もしくは現在FIFAが検討中の最大26人の顔触れだ。

 おそらく、負傷などよほどのトラブルがなければ、ほぼ森保監督のチョイスは固まっていると見ていい。

 まず、怪我により今回のメンバーから外れた酒井と大迫(勇)は、コンディションが戻れば確実に選ばれるだろう。それは、負傷でここまでの出場はないがチームに帯同する冨安、負傷で途中離脱した守田にも言える。

 そのうえで、森保監督が描く主力メンバーは、ブラジル戦でスタメンを飾った11人。GK権田以下、長友、板倉、吉田、中山、遠藤、原口、田中、伊東、南野、そして古橋だ。

 この中で、酒井、大迫、冨安、守田が復帰した場合は、長友か中山、板倉、原口、古橋が、控えメンバーになる可能性が高い。ただし、彼ら4、5人にしても、W杯出場メンバー入りは当確だろう。

 そしてこの15人を軸に、残り8枠、または11枠のメンバー争いになる。

 そこでポイントになるのが、森保監督が見せたブラジル戦における選手交代策だ。本番を想定して戦ったその試合で途中出場した選手は、鎌田、前田、三笘、堂安、柴崎、山根の6人。特に鎌田は初戦のパラグアイ戦でフル出場を果たしていただけに、ブラジル戦の後半開始から出場したことで、ほぼ当確と見て間違いないだろう。ブラジル戦を含めて全3戦に出場している三笘も然りだ。

 残り枠の中には控えGKとしてもう2人をメンバーに加えることになるが、その候補としてほぼ確実に選ばれそうなのが、経験豊富なベテランの川島。残り1枠は、今回招集されたシュミット・ダニエル、大迫(敬)、そして3月に招集された谷晃生の争いになる。

 一般的に、将来を見据えて若手GKをメンバーに加えるケースが多いことを考えると、大迫と谷のどちらかになるだろうが、現状では今回のメンバーに入った大迫がリードか。

 残り4~7枠は当落線上の争いになるが、まずDFでは谷口が一歩リード。控えCBは、アンカーも兼務できる板倉がいるため、その4人で対応できる。そうなると、今回初招集された伊藤は微妙な立場になる。

 右SBは、酒井の控えとして山根が最有力。今回は菅原が負傷離脱したために長友が右SBでプレーしたが、本来的には左SBを中山と争うはずだ。

 最大の注目は中盤から前線の控えメンバーの構成になるが、現状、右ウイングはブラジル戦も含めた3試合に出場している堂安が、ブラジル戦で出番がなく、ガーナ戦ではインサイドハーフでフル出場した久保よりも一歩リードしていると見ていい。

 また、中盤では4-3-3のインサイドハーフと4-2-3-1のダブルボランチの一角でプレーできる柴崎が、ここまでの起用を見た場合に有力。

 しかし、残り1枠を交代機会が多いアタッカーとする場合、浅野と前田が競い合う恰好になりそうだが、指揮官の寵愛ぶりからすると浅野が優勢。もちろん、ブラジル戦に途中出場した前田の可能性もあり、この争いは熾烈を極める。

 仮に通常通り23枠だった場合はここまでがW杯登録メンバーになるが、26枠になればプラス3枠増える。そこで可能性が浮上するのが、浅野を23枠に入れた場合に外れていたMFの柴崎、そして前線の久保、前田のアタッカー2人になる。

 ただし、前線の駒のなかでは、古橋、浅野、前田の3人はキャラクター的にかぶる部分があるため、前田か浅野が外れて上田が選ばれる可能性もわずかに残される。

 果たして、次のチュニジア戦で森保監督が誰をスタメンに選び、どの選手を試合途中で起用するのか。9月に予定される2試合の招集メンバーがそのまま本大会登録メンバーになる可能性が高いだけに、当落線上の選手にとっては、その試合がラストチャンスになりそうだ。

※以下、出場選手の採点と寸評(採点は10点満点で、平均点は6.0点)

【GK】川島永嗣=6.0点

アジア最終予選のベトナム戦以来のスタメン出場。攻撃されるシーンが少ない中、ハイボールの処理も含めて危なげなくプレー。失点のシーンはシュートを決めた方を褒めるべき。

【右SB】山根視来(85分途中交代)=6.0点

序盤からよく攻撃に絡み、右サイド攻撃を活性化させたばかりか、前半29分に先制ゴールを決めた。ただ、失点に直結するミスパスはDFとしては痛恨だ。マイナス0.5ポイント。

【右CB】吉田麻也(HT途中交代)=6.0点

3試合連続のスタメン出場。ここ2試合のなかでは、フィードを含めて安定したパフォーマンスを見せることができた。ただ、疲労気味な印象もあり、休んでもよかったのでは。

【左CB】谷口彰悟=6.0点

ディフェンス面で難しい局面を迎えることがなかったため、大きなミスもなく及第点のパフォーマンスを見せた。攻撃の起点となるようなロングフィードや縦パスは控えめだった。

【左SB】伊藤洋輝=6.0点

代表2キャップ目にして、慣れない左SBでも落ち着いたプレーを披露し、終盤は3バックの左を務めた。左効きのCBとしては貴重な戦力だけに、今後の成長ぶりに期待がかかる。

【アンカー】遠藤航(69分途中交代)=6.0点

吉田とともに3試合連続のスタメン出場。さすがに疲労を隠せず、いつものような運動量や球際の強さはなかったが、ミスもなく無難にプレー。吉田同様、休みが必要と思われる。

【右インサイドハーフ】久保建英=6.5点

初めて4-3-3のインテリオールでプレーし、代表17試合目にして待望の初ゴールを記録。それ以外でも立ち上がりからよくボールに触り、攻撃のアクセントとして機能していた。

【左インサイドハーフ】柴崎岳=6.0点

これまで4-3-3のインテリオールで出場した試合の中ではベストなパフォーマンスだった。ただ、守備バランスを考えてプレーせざるを得ず、難しいプレーを強いられていた。

【右ウイング】堂安律(69分途中交代)=6.0点

山根の先制ゴールをアシストした他、三苫の追加点の場面も果敢な飛込がGKの反応を遅らせた。意欲的プレーは多かったが、パラグアイ戦ほどの存在感を示すことはできなかった。

【左ウイング】三笘薫(80分途中交代)=7.0点

ドリブルの仕掛けと、周りと絡みながら崩しに参加するプレーの使い分けが改善され、より効果的なプレーが増えた。あとは格上相手の試合でどこまで守れるかが先発奪取のカギ。

【CF】上田綺世(80分途中交代)=6.0点

今回のシリーズで初出場。ようやく巡ってきたチャンスで持ち味を発揮したが、シュート本数と得点に絡む部分では少し物足りなさも。W杯出場に一歩前進、とまでは言えない。

【DF】板倉滉(HT途中出場)=6.0点

吉田に代わって後半開始から右CBでプレー。ブラジル戦に続いて上々のパフォーマンスを見せた。良い守備でボールを奪い、久保のゴールにつながるチャンスの起点にもなった。

【MF】田中碧(69分途中出場)=6.0点

遠藤に代わって後半途中から4-3-3のセンターでプレー。ワンボランチは代表では初めての経験だったが、及第点のプレー。とはいえ、攻守両面で目立ったプレーは少なかった。

【MF】伊東純也(69分途中出場)=6.5点

堂安に代わって後半途中から右ウイングでプレー。82分に自慢のスピードを生かしたドリブル突破から前田のゴールをアシスト。ジョーカー起用にも対応できることも証明した。

【FW】前田大然(80分途中出場)=6.5点

植田に代わって後半途中から1トップでプレー。短い出場時間の中で前線を動き回り、ついに代表初ゴールをマークした。プレーの正確性は課題だが、相手に与える脅威は大きい。

【MF】南野拓実(80分途中出場)=採点なし

三笘に代わって後半途中から左ウイングでプレー。出場時間が短く採点不能。

【DF】中山雄太(85分途中出場)=採点なし

山根に代わって後半途中から3-4-2-1の左ウイングバックでプレー。出場時間が短く採点不能。

サッカージャーナリスト/フットボールライフ・ゼロ発行人

1970年生まれ、山梨県甲府市出身。明治学院大学国際学部卒業後、「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部に入り、編集長を経て2005年に独立。紙・WEB媒体に寄稿する他、CS放送のサッカー番組に出演する。雑誌、書籍、WEBなどを制作する有限会社アルマンド代表。同社が発行する「フットボールライフ・ゼロ」の編集発行人でもある。

中山淳の最近の記事