日銀の金融政策の正常化は政府も容認、すでに拙速などといえるような状況ではない
13日付の日本経済新聞の記事、「マイナス金利解除、政府に容認意見 脱デフレと切り分け」のなかで、政府内にマイナス金利解除を容認する考えが広がってきたとあった。
マイナス金利解除は金融政策が正常化に向かう一方で、日本経済がデフレ脱却に近づいたことを意味するとあり、マイナス金利政策の解除とデフレ脱却とは切り離して考えるべきとの意見である。
それは当然のことで、少なくともマイナス金利政策は通常の金融緩和政策と切り離して考えるべきである。正常化を進めるべくマイナス金利を解除しても、政府の脱デフレ宣言に歩調を合わせる必要はない。
金融政策の正常化、これはあくまで普通の金融緩和政策に戻すことであり、内田副総裁の発言にもあったが、ゼロ金利政策という極めて緩和的な状況は続くことになる。
その後の利上げを検討するのであれば、こちらは政府の脱デフレ宣言と歩調を合わせてもおかしくはない。
この記事では、「政府は議決の延期を請求する権利を持つ。日銀がマイナス金利解除を提起したとしても権利を行使しない見通しだ」ともあった。
そういえば12月の金融政策決定会合には、何故か新藤義孝経済財政政策担当大臣が出席していた。
興味本位であったかもしれないが、通常は大臣自ら出席するケースは少ない。12月も正常化に向けた議論も盛り上がっていただけに、大臣の出席に何かしらの思惑が出ていたとしてもおかしくはない。
いずれにしても、政府も日銀の正常化を容認する考えを示しており、議決延期請求権も行使しないのであれば、日銀はあまり時をおかず、正常化を進めるべきである。
日銀のいうところの不確定要素は時を置くとさらに増加する恐れもある。ここにきての円安もそうであろう。すでに「拙速」などといえるような状況でもなかろう。