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期待の13歳・田中健太郎新初段がプロ入り 「読書感想文」のご縁

内藤由起子囲碁観戦記者・囲碁ライター
左が田中健太郎新初段、右は師匠の古谷裕八段=古谷八段提供

9月1日に嬉しいメールが届きました。田中健太郎さんが関西棋院でプロ入りしたと、健太郎さんのお父さんが知らせてくださったのです。
健太郎初段は13歳で男性棋士では藤田怜央初段(11歳)につぐ年少で、「タイトルを争う棋士になれる素質がある」と師匠の古谷裕八段が太鼓判を押す棋士。
私とのご縁も少なからずあります。

3年前の少年少女全国大会に出場していた小学5年生の健太郎少年。そこで私が取材をしていたときに、健太郎初段のお父さんに「内藤さんの本で健太郎が読書感想文を書きました」と声をかけられたことからご縁が始まりました。

読んでくれた本が拙著『囲碁ライバル物語~木谷門、平成四天王、井山一強に挑む新世代』で、早速、読書感想文を送っていただきました。

自分の本を読んでもらえるだけですごく嬉しいのに、読書感想文か書いてもらえるなんて、こんな嬉しいことは最近なかった!というくらい嬉しいできごとでした。

健太郎初段はそのときの少年少女全国大会ではベスト16でしたが、そのあと「くらしきこども棋聖戦大阪府大会高学年の部」で優勝。

それから3年たって9月1日づけで関西棋院のプロになりました。

感想文に記載された井山裕太王座との対局風景。手前が健太郎初段=田中健太郎初段家族提供
感想文に記載された井山裕太王座との対局風景。手前が健太郎初段=田中健太郎初段家族提供

「井山杯東大阪市新春囲碁フェスティバル」(2019年1月6日)。このとき、最年少入段が決まった仲邑菫三段と井山裕太王座の記念対局もあって注目されたイベントになりました=田中健太郎初段家族提供
「井山杯東大阪市新春囲碁フェスティバル」(2019年1月6日)。このとき、最年少入段が決まった仲邑菫三段と井山裕太王座の記念対局もあって注目されたイベントになりました=田中健太郎初段家族提供

師匠の古谷八段「健太郎はひょうきんで常にわらかそうとしている明るい子です。自由にのびのび打っていて、碁を楽しんでいるのが長所です。勉強というより、楽しむものとして囲碁をとらえているので、囲碁に取り組む時間も自然に長くなります。早い段階で技術は十分で教えることはなくなりました。弟子のなかで、一番碁を教えなかったかも知れません。小学6年生の段階で、こちらが教えられるような発想を見せ、関心するくらいでした。いうことといえば、お行儀ばかりでした。プロ入りはメンタルの問題だけで。きちんと人間的に成長すればタイトルを争う棋士になれると思います。一力遼棋聖を目指して。それくらいの素質があります」

スタート地点に立った健太郎初段。読書感想文の返事に、私は「次は観戦記を書かせてくださいね」と伝えました。私の担当するなかでは、最低でも名人戦リーグ入りの一局にならないと観戦記はつきません。ぜひ、がんばって欲しいです。

囲碁観戦記者・囲碁ライター

囲碁観戦記者・囲碁ライター。神奈川県平塚市出身。1966年生。お茶の水女子大学大学院修士課程修了。お茶の水女子大学囲碁部OG。会社員を経て現職。朝日新聞紙上で「囲碁名人戦」観戦記を担当。「週刊碁」「囲碁研究」等に随時、観戦記、取材記事、エッセイ等執筆。囲碁将棋チャンネル「本因坊家特集」「竜星戦ダイジェスト」等にレギュラー出演。著書に『井山裕太の碁 AI時代の新しい定石』(池田書店)『囲碁ライバル物語』(マイナビ出版)、『井山裕太の碁 強くなる考え方』(池田書店)、『それも一局 弟子たちが語る「木谷道場」のおしえ』(水曜社)等。囲碁ライター協会役員、東日本大学OBOG囲碁会役員。

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