「携帯だけ」の世帯が4割に迫る米電話事情
携帯のみの世帯は4割近く
携帯電話は日々高性能化を続け、さらにスマートフォンではパソコンに近い機能を有し、日常生活に欠かせない存在となりつつある。それと同時にこれまで「電話」の主役だった、固定電話の存在価値が揺らいでくるのも当然の話。
日本でもすでに固定電話を持たず携帯電話(一般携帯電話とスマートフォン、PHSなどを合わせた、「携帯」する「電話」)のみの世帯も少なからず見受けられるが、電話事情でも日本を先行するアメリカでは、携帯電話のみの世帯が漸次増加中である。次以降のグラフはアメリカ疾病対策予防センター(The U.S. Centers for Disease Control and Prevention、CDC)が半年毎に公開している同国の電話普及状況の調査レポート「Wireless Substitution」を基にしたものだが、このデータの最新版(2013年上半期)によれば、その時点で「携帯電話のみの世帯」は38.0%に達している。固定電話と携帯電話の双方を持つ世帯は5割程度。
2006年と2007年の間で「固定・携帯双方あり」「固定のみ」に大きな変化が起きている。これは2007年以降において携帯電話関連の項目で設問方法に変更があったため。
設問方法の変更による動きを除けば、固定電話は一貫して減少している。「固定のみ」だけでなく「固定・携帯双方あり」も減っており、固定電話の実数が減り、携帯電話に取って代わられているのが分かる。最新の2013年上半期で、固定電話のみの世帯は6.9%のみ。4割近くは固定電話無し・携帯電話だけの世帯となっている。
また、この一、二年は「固定電話のみ」の世帯数減少の動きがゆるやかになっている。固定電話に固執する世帯に大きな変化は無く、双方を持ち合わせていた世帯が完全に携帯電話のみに切り替える動きのみ進んでいるように見える。
世代で異なる「携帯のみ」世帯の増加率
次のグラフは、回答者世代別の「携帯のみ」(固定電話無し)世帯率の推移を示したものである。
若年層(18~24歳)と最高齢層(65歳以上)の上昇率がやや大人しめなのが気になるが、それをのぞけば「回答年齢が若いほど『携帯のみ』率が高く、上昇率も大きい」傾向にある。また「18~34歳の回答者世帯の過半数では、携帯電話しか電話が無い」という状態は継続している。あと一、二年もすればそこに「35~44歳」層も加わることだろう。
18~24歳層は年齢的に保護者と同じ世帯に住んでいる可能性が高く、回答者だけの意思では世帯内の電話事情を決定できない事例も多々ありえるが、それでも上昇を続けている。保護者もまた、固定電話との別離を肯定しつつあるようだ。
そして日本では!?
日本では一時期固定電話の回線権利が財産的な扱いを受けており、さらに各種契約や商品購入の際の身分証明代わりに世帯の固定電話番号の表記を求められる事例が多かったこともあり、固定電話の利用率は今なお高い。総務省の「通信利用動向調査」の最新データ(2012年末分)では、全体で8割近くの世帯が固定電話を有している。
とはいえ、携帯電話に慣れ親しんでいる、最初に携帯電話を電話として手に取った人も多い若年層を中心に、固定電話を持たない世帯が増えているのも事実。日本もまた、アメリカ同様に固定電話離れが少しずつ、そして確実に進んでいくに違いない。
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