Google、メキシコでも無料Wi-Fi「Google Station」提供:44都市60か所以上で
インド、インドネシアに次いで3か国目での無料Wi-Fi
Googleは2015年9月に、インド全土の400の鉄道駅に無料Wi-Fiを敷設することによって、インド人が高速インターネットへのアクセスを可能にすることを発表。Googleではこのプロジェクトを「Google Station」と呼んでいる。インド鉄道と通信事業者Railtelと協力して、実際に無料Wi-Fiを計画通りに敷設している。2016年には、主要な100駅でWi-Fiを敷設。2017年末までに、227駅でWi-Fiの敷設が完了し、2018年末までに400駅全てに敷設予定。
さらにGoogleは2017年8月に無料Wi-Fi「Google Station」をインドネシアでも展開することを明らかにした。現地のFiberStar、CBNと提携して、2018年中をめどに、ジャワ島とバリ島で無料Wi-Fiを提供していく予定。
そしてGoogleはついに無料Wi-Fi「Google Station」をメキシコでも展開することを明らかにした。地元のプロバイダーSitwifiと提携して、メキシコシティを中心にメキシコ全土44都市のモール、空港、駅など60か所で無料Wi-Fiの利用ができるようになる。2018年末までにはメキシコ全土100か所で無料Wi-Fiが利用できるようになる。
まだ1億人がネットに未接続のメキシコ
メキシコの人口は約1億2000万人。OECDのレポートによると、メキシコでは2013年から2016年の間にインターネットにアクセスする人が2000万人まで増加した。だが、まだ約1億人がネットにアクセスできない環境にいる。それでも中古や低価格のスマホは都市部だけでなく、地方でも普及している。Googleが無料Wi-Fi「Google Station」を先行して普及させてきたインドやインドネシアも同じような状況だ。
GoogleメキシコのAnjali Joshi氏は「無料Wi-Fiはネットへのアクセスにとって非常に重要。メキシコでの取り組みがラテンアメリカ諸国での展開につながると良い」とコメント。
広告収入につなげるための重要な設備投資
Googleはインドやインドネシア、そしてメキシコのような新興国で無料Wi-Fiを提供しようとしている。だが、Googleは通信事業者になりたいのではない。無料でWi-Fiを提供することによって、誰もが無料でネットにアクセスできるようになり、スマホでGoogleのサービスを利用してもらうことが目的だ。メキシコなど新興国では急速にスマホが普及しつつあるが、プリペイドSIMが主流のため、無料のWi-Fiがないとネットにアクセスしないという人が多い。
Googleとしてはネットにアクセスしてもらい、検索やGメール、YouTubeを利用してもらい、自社の広告収入につなげたい。Googleの売上の90%以上が広告収入であり、その前提はネットに接続されることであり、ネットに接続できて初めてGoogleを利用してもらえる。Googleにとって、メキシコ全土でWi-Fiが設置されることは重要な設備投資だ。
メキシコ中の情報を集めるための先行投資
さらに1億人以上のメキシコ人から収集できる莫大な情報やデータはGoogleが注力している人工知能を強化していくのに貴重な情報やデータとなる。特に駅やモールでの利用は鉄道での移動情報、店舗情報、買い物の記録など多くの有益な情報収集が期待できる。
そこで収集したデータを元に機械学習を通じて強化された人工知能を用いて、さらに適切な広告配信や人工知能を活用した多くのサービスをメキシコで提供していくことが可能となり、そこで期待できる収入は無料Wi-Fi設置のコストをカバーできるのだろう。
Googleは慈善事業で無料Wi-Fiの設置を行っているわけではなく、メキシコという巨大な市場での将来の収益確保に向けた先行投資なのだ。メキシコでの「Google Station」の普及の次はラテンアメリカ諸国での展開を見据えている。
▼Googleメキシコの「Gメール」の広告(Google Mexico)