【京都市中京区】まさかのお別れ……京都の名物銭湯が閉業……
銭湯離れが叫ばれて久しい……というか、すでに銭湯離れという言葉自体が過去のものになった感もある昨今。家庭に風呂があるのが当たり前の現代では、それもまた仕方ないことなのかもしれません。しかし、銭湯には銭湯にしかないよさがあるのもまぎれもない事実。若い世代が引き継いでその火を絶やさないようにしているところや、イベントなどを行って新しい顧客を集めているところなど、ユニークな試みにチャレンジしている銭湯も数多く見られます。しかし、だがしかし……やはり閉業していく銭湯が多いのはいかんともしがたく……。今回は街を歩いていて「ん!? んんッ!? エエエエッ!」と二度見、三度見して驚き、肩を落としてしまった悲しい閉業のお知らせです。
京都市中京区にある錦湯さん。四条通、錦市場からもほど近い場所にあり、創業は1927年。これまで一体どれくらいの人たちがここの湯で体を、そして心を温めてきたのでしょうか。某日早朝、久しぶりに界隈を散歩していて、ふと何かおかしいことに気が付きました。
「入り口に何か置いてる? 貼り紙もしてるな」と近づいて見ると……。
う〜ん達筆! とか言うてる場合やなくて!! なんと6月5日で営業を終了する旨、そしてこれまでのお礼がしたためられおりました。2ヶ月近くも知らなかったなんて……。
ちなみに置かれていたのは、欧州の風景と思しきジグソーパズルと三脚、そして鉄下駄。そこには「御自由にどうぞ」との貼り紙がありました……。
以前、まだ営業していたころにお伺いした際には、脱衣所やそこに並ぶ常連さんの柳行李の渋さに悶絶、また湯船の雰囲気なども素晴らしく、見とれてしまったことを思い出します。そしてこちらでは落語イベントやそのほかにも様々な催しが積極的に行われるなど、銭湯好きだけでない、幅広い世代、ジャンルの人たちをひきつけていたと思われ、知名度や立地などからも「ここが閉まってしまうことはないだろう」と勝手に思い込んでました
ほら、左手に見えてるのが錦市場のアーケード。まさに京都のど真ん中で永らく人々に愛されていた銭湯だったのです。閉業を知ってからネットをあれこれ見てみますと、老朽化、そして店主がご高齢であることなどがその理由のようです。
表のタイルもとてもいい感じ。もちろん閉業は仕方がないことですし、「そんだけ言うなら営業してるときにもっと足繁く通え!」とツッコまれたら二の句も継げませんが……。でもでも、やはりとても惜しいと思ってしまいます。
これからこの建物がどうなるのかわかりませんが、責任のない外野の勝手な意見としては、できるだけこのままの形を残してほしい、と切に願う次第です。難しいかとは思いますが……。創業から95年、錦湯さん、おつかれさまでした&ありがとうございました!
錦湯
住所/京都市中京区堺町通錦小路下る八百屋町543
2022年6月5日閉業