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日本代表リーチ マイケル ポルトガル代表戦の「ベストメンバー」として復権?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
現地でのリーチ(写真提供:日本ラグビーフットボール協会)

 ラグビー日本代表は日本時間11月14日未明、敵地エスタディオ・シダーデ・デ・コインブラでポルトガル代表と対戦。同12日に出場メンバーを発表した。前回のゲームより先発を10名、入れ替えた。顔ぶれは以下の通り。

1  クレイグ・ミラー(4)△

2  堀越康介(3)

3  ヴァル アサエリ愛(18)★△

4  ジャック・コーネルセン(4)○

5  小瀧尚弘(10)

6  リーチ マイケル(70)★

7  姫野和樹(20)★○

8  德永祥尭(14)★△

9  茂野海人(12)★

10 松田力也(27)★△

11 シオサイア・フィフィタ(4)○

12 中村亮土(28)★○◎

13 中野将伍(—)☆

14 ディラン・ライリー(2)○

15 山中亮平(20)★△

16 坂手淳史(25)★○

17 中島イシレリ(8)★

18 具智元(17)★○

19 ワーナー・ディアンズ(—)☆

20 ファウルア・マキシ(2)

21 齋藤直人(4)△

22 松島幸太朗(42)★○

23 テビタ・タタフ(7)△

◎=ゲームキャプテン

〇=11月6日アイルランド代表戦先発

△=11月6日アイルランド代表戦リザーブ

☆=出場すれば初キャップ

★=ワールドカップ日本大会登録メンバー

 今度の欧州遠征では同6日、アイルランド代表に5―60と大敗(ダブリン・アビバスタジアム)。同20日にエディンバラ・マレーフィールドでスコットランド代表とぶつかる。両国より世界ランクで下回るポルトガル代表との試合では、かねて若手の起用が検討されていた。

 ジェイミー・ジョセフヘッドコーチの考えは。同14日未明、オンラインで会見した。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

「全ての選手に期待しています。アイルランド代表戦は残念な結果に終わりました。それを踏まえ、セレクションに入っていない選手もいます。今週は違う週、自分たちにフォーカスして、自分たちのフォームを取り戻していい試合をするのが重要です。

 今週はメンタルの準備の部分で大きな変化があった。アイルランドではエッジで十分ではなかった。今週は怪我人も出ている。ラピース(ピーター・ラブスカフニキャプテン)、ジェームズ・ムーアが怪我で離脱しています。シニアメンバーがいないなか、新たな若い選手が出るのはエキサイティング。それは試合にも影響するのではと思います。

 毎週、私たちは一貫性を持ったプロセスを踏んでいますが、今回は(試合の)レビューが重要なプロセスでした。前回のアイルランド代表戦が満足いかない内容だったからです。その段階でメンバーアナウンスをし、出られない選手、出る選手がいるなか、若い選手がチャンスを掴んだ。

 ゲームキャプテンには中村亮土を任命。求める態度、ゲームプランを共有し、1週間の練習を組み立てました。キャプテンズラン(試合前日練習)では自分たちコーチが参加することなく主体的にできた。いい方向に向かっています」

——高校を卒業したてで、所属先での東芝でも公式戦の経験がないディアンズ選手がベンチ入り。

「(ディアンズが務める)ロックに怪我人がたくさん出ている。合宿1日目でヴィンピー・ファンデルヴァルト。パックの一員としてフィジカルが強い選手でしたが…。そのほか、(サンウルブズでプレー経験のある)リアキ・モリら数名が準備段階でいなくなった。…プラン外のことです。

 現在、ロックのスペシャリストだけでの構成ができていない。コーネルセンは基本的に6番で出ている選手です。そのなかで小瀧、ワーナーを選出しました。未来を見なければいけない選手に経験を積ませる。今回のリザーブはフォワードとバックスで6対2の構造で、ワーナーが出ることはないかもしれませんが。彼は身長2メートル超でスキルもある、投資として経験を積ませていく。チームにも素晴らしい影響を与えてくれています」

——フォワード第3列について。この秋復帰して充実の德永選手がナンバーエイトで先発。リーチ選手も久々にブラインドサイドフランカーに戻り、姫野和樹選手がオープンサイドフランカーに回ります。

「全ての選手がいいフォーム。姫野はブレイクダウンでいい仕事をする。ラピースが怪我をしているなか、7番にアジャストして欲しい。德永は色んなポジションをカバーできる。彼がラインアウトのジャンパーとなることで、姫野がもっと自由にプレーできる。リーチはフルに戻っている。これからも身体を整えなきゃいけない部分があるが、若い選手のメンターとしていい準備をしてくれている。3回ワールドカップに出ている経験を、淺岡俊亮選手、福井翔大選手といった若い選手に繋いでくれている」

——中野選手がアウトサイドセンターで先発する。もともとアウトサイドセンターが本職のライリー選手は、アイルランド代表戦に続いてウイングに入ります。

「将伍のポテンシャル、亮土とのコミュニケーションが見たい。オフ・ザ・フィールドでも自信を持って選手と接していますし、練習でもいいプレーをしています。彼のことはアウトサイドセンターとして考えています。前回の試合ではティム(ラファエレ ティモシー)が自分たちにとって満足な働きではなかったとあり、将伍にとっては次がビッグマッチです。前回のディランの働きには満足しています。プレッシャーがかかるなかでのハイボール処理は重要。新しいポジションでたくさん試合をして、慣れてもらいたい」

——ウイングには髙橋汰地選手、ジョネ・ナイカブラ選手、レメキ ロマノ ラヴァ選手ら本職の選手がいるなか、アイルランド代表戦に続き本来アウトサイドセンターのライリー選手、シオサイア・フィフィタ選手が先発しました。

「ベストプレーヤーを出す、ということだけを考えています。出られない選手がいるのが難しいところですが、ハードトレーニングを通し、『この選手がベストだ』と思える選手を出していこうと考えています」

——確認です。ムーア選手とラブスカフニ選手以外に、怪我やコンディションの問題でセレクションから外れた選手はいますか。

「いません」

 今度のゲームは、チームにとってはアイルランド代表戦から復活をアピールする一戦であり、各人にとってはレギュラー定着のためのオーディションでもある。今度のツアーで初先発となる前キャプテンのリーチ マイケルは、静かに言った。

「コンタクトで勝たないと、テストマッチでは勝てない。それだけです。そのためのマインドセット、準備をしてきている。明日、やるだけです。久々に外でテストマッチをふたつ(10月23日の大分でのオーストラリア代表戦、11月6日のアイルランド代表戦)、見て、個人的にも色々と感じる部分があって…。まずは個人的に、6番を勝ち取ることを頑張りたいと思います」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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