夫の育児参加率、遊び相手は9割近く・風呂入れは8割近く(2019年公開版)
意外と高めな夫の育児参加率
兼業主婦の増加や、その就業時間の延長化に伴い、夫の家事や育児への手助けがこれまで以上に求められるようになった。特に情操教育の観点から、妻だけでなく夫も育児に参加した方が、子供にはプラスとなりうることを考慮すると、夫の育児参加は単に妻の負担を減らす以上の効用が期待できる。そこで夫の育児参加の現状について、2019年9月に発表された全国家庭動向調査(※)の結果から確認する。
次に示すのは妻の視点で夫が週に1回から2回以上、育児を遂行していると回答した人の割合。例えば平日は就業に専念し、土日は積極的に育児を手掛けた場合、今件項目に該当することになる。
技術の必要性や内容の特性、時間の都合の問題などから、「おむつ替え」「食事させ」「寝かしつけ」はやや値が低めだが、それでも直近の2018年では4割強から6割台が実施している。また「遊び相手」「風呂入れ」などは7割台から8割台に達しており、高い値を示している。「保育園送り迎え」がやや低い値に留まっているが、これは「保育園などに子供が通っている」「送迎できる手段がある」「平日で無いと送迎ができない(夫も大抵平日は就業している)」など、ハードルのクリア条件が高めだからに他ならない。むしろ週1回から2回とはいえ、3割強の夫が実行できている方が驚き。
また経年変化で見ると、上昇度合いは項目によって違いがあるが、ほぼ一様に増加傾向にあるのが見て取れる。夫の育児参加は年々積極的になりつつあるようだ。ただし「風呂入れ」「食事させ」「寝かしつけ」など時間上の条件が厳しめな項目で、直近年でいくぶんの下落が生じているのが気になる。単なる統計上のぶれだろうか。
妻の年齢や夫の帰宅時間別の動向
続いていくつかの要素別に区分し直し、夫の育児手伝い度合を確認する。まずは妻の年齢別。歳が大きく離れた夫婦は少数派であることを考えれば、間接的には夫の世代をも意味すると見てよいだろう。
ほぼ一様に「妻の年齢が上になるに連れて、夫の育児参加率が下がる」傾向にある。いくつか理由は考えられるが、「妻≒夫の年齢が上になるほど夫の仕事が忙しくなり、時間を割きにくくなる」などが挙げられる。「保育園などの送り迎え」が30代前半になるとグンと下がるのがよい例である。なお今項目は「3歳までの子供の育児」に関しての問い合わせなので、「年齢が上がるほど子供も成長しており、『育児』の必要性が無くなる」は理由としては該当しない。
一方、夫の帰宅時間別に見ると、一部イレギュラーがあるものの、遅く帰宅するほど育児参加率も下がる傾向にある。
平日の帰宅時間が遅くとも、土日に育児参加をすれば各項目に該当するのだが、やはり帰宅が遅い=就業時間が長いと、土日は休養に充足し、育児まで手掛けられないとする夫の割合が増えるのだろう。とはいえ、遅く帰ってくる事例でも、「遊び相手」は9割、「風呂入れ」は7割後半が実施しており、夫の育児参加への積極性がうかがえる。
また「泣いた子あやし」はむしろ帰宅が遅い夫で高めの値が出ているのも注目に値する。平日はなかなか子供に接触する機会が無く、だからこそ土日にはより積極的に子供と触れ合いたいとする親心が、数字に表れたのかもしれない。
家事全般と比べれば夫の育児参加率は高めで、8割台や9割台が頻発する結果が出ている。やはり親子のきずなを直接感じ取れるからなのだろう。一方で幼少児の育児はとかく苦労が多いこともあり、母親の負担は並大抵のものでは無い。今後さらなる父親の参加率上昇に期待したいところだ。
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※全国家庭動向調査
国立社会保障・人口問題研究所が5年おきに行っている調査で、家庭機能の変化の動向や要因を正確に把握するため、家庭での出産、子育ての現状、家族関係の実態を明らかにすることを目的としている。直近分となる2018年分は、2018年に調査票を配布、同年7月1日時点についての事実の記入をしてもらい、回収した結果を集計したもの。有効回答票数は10965票で、今件はそのうち有配偶の女性(つまり結婚した状態で夫がいる妻)が回答した6142票を分析対象としている。妻の年齢区分は29歳以下2.6%・30代13.2%・40代20.2%・50代20.0%・60代23.7%・70歳以上20.2%。
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