梅雨前線の被害中国でも 死者・行方不明者多数
九州豪雨と原因
報道されているように、九州では週末からの記録的な豪雨により、土砂災害や洪水が発生しています。中でも熊本県甲佐町では、1時間で150ミリもの異常な量の雨が降りました。これは国内観測史上4位、また6月としては観測史上1位の記録です。
この雨の原因は、活発な梅雨前線と低気圧の影響です。さらに東京大学先端科学技術研究センターの中村尚教授によると、東シナ海の海水温が高く、大量の水蒸気を含んだ暖湿な空気が流入したために、次々と積乱雲が発達したことも原因のようです。
中国大陸に伸びる梅雨前線
ところで、天気図を見て見ると、梅雨前線は中国大陸まで伸びているのが分かります。実は日本だけではなく、中国東部でもまた、この前線により大規模な災害が発生しているのです。
ちなみに、「梅雨」という言葉は中国由来です。中国では「梅雨(メイユー)」と呼んでいます。
中国の豪雨被害
中国東部では、梅雨前線による大雨の影響で、大規模な洪水・土砂災害が起こり、少なくとも22名が死亡、20人が行方不明になったと伝えられています。
四川省・江西省・浙江省など8つの省では、合計20万人が避難しています。さらに、新華社通信によると、2,400軒以上の家屋が倒壊し、農作物に深刻な被害が出ており、経済損失は推定で約4億ドルにものぼるとのことです。
(先週の映像。先週も3日連続の大雨により大洪水が発生。車が流されたり、道路が突然壊れるなどの大きな被害が発生した。)
中国の梅雨の傾向
今年は中国南部で、例年よりも2週間以上も早く梅雨が始まりました。そしてそれ以来、日降水量が200ミリを超えるような大雨が降っています。中国気象局は、今年の梅雨は記録的なものになる恐れがある、と指摘しています。
なお、近年で最も雨が多かった梅雨は1998年で、揚子江などいくつかの川で大氾濫がおこり、4000人以上が死亡、1億8千万人に影響が出ました。
その年は史上最大規模のエルニーニョが終わり、ラニーニャへと移行した年でした。
奇しくも、今年もまたエルニーニョが終焉を迎え、今後ラニーニャに向かっていく予想が出ているため、さらなる大雨が心配されます。