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【京都市北区】京都の北方を守護する 蛇と亀が一体となった玄武が鎮座する神社

くまライター(京都市)

2025年は巳年。蛇には財運や病気平癒、健康長寿、不老不死、厄除けなどさまざまなご利益があるとされています。巳年には、蛇にゆかりのある社寺を訪れることがおすすめです。

平安京の北方の守護神

京都市北区紫野にある「玄武神社」には、境内に「玄武の石像」が鎮座しています。 「玄武」とは、蛇と亀が一体となった伝説上の神獣であり、北の方角を守る四神のひとつです。

中国の神話において四神とは、天の四方の方角を司る霊獣であり、東は青竜、南は朱雀、西は白虎、北は玄武が守護するとされています。

玄武は脚の長い亀に蛇が巻きついたり、尾が蛇となっていたりする姿で表現される神獣で、玄武神社に鎮座する石像も、亀の甲羅に蛇が巻きついた姿をしています。

古代中国では亀は「長寿と不死」の象徴、蛇は「生殖と繁殖」の象徴とされており、金運上昇や健康長寿のご利益があると信じられてきました。

玄武神社は京都御所の北西に位置し、平安京の北方を守護する社であることから「玄武神社」と名づけられ、金運上昇や健康長寿のご利益があることから人々の信仰を集めてきました。かつて、境内にはたくさんの亀が放たれており、「亀宮」(かめのみや)とも呼ばれていたそうです。

玄武神社は、第55代文徳天皇の第一皇子である惟喬親王を祭神としています。惟喬親王は聡明で、文徳天皇の深い愛情を受け、いずれは皇太子、やがて天皇になると期待されていました。

しかし、時の権力者である藤原良房の娘で、文徳天皇の女御である藤原明子が惟仁親王(これひとしんのう)を産むと、文徳天皇は惟仁親王を皇太子に指名します。その後、惟喬親王は国政に関わることはありませんでした。

悲運だった惟喬親王の魂を慰めるために創建されたのが玄武神社で、「惟喬社」とも称されます。

本殿
本殿

本殿隣の「稲荷大明神」は五穀豊穣商売繁盛を、三輪明神は病気平癒延命長寿のご利益があるとされています。

灯篭にも玄武の文字が
灯篭にも玄武の文字が

京都三大奇祭の一つ「やすらい祭」発祥の地

毎年4月の第2日曜日には「玄武やすらい祭」が行われます。「やすらい祭」は鞍馬寺の「鞍馬の火祭」、広隆寺の「太秦の牛祭」と並ぶ京都三大奇祭の一つで、シャグマと呼ばれる赤と黒のザンバラ髪の鬼が長髪をなびかせながら踊る姿がユーモラス。今宮神社が有名ですが、実は玄武神社が発祥であり、1987年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。

玄武神社のすぐ隣には、今宮神社の御旅所(おたびしょ)があります。今宮神社や大徳寺、船岡山も近くにあり、歩いて訪れることができるので、合わせて観光するのもおすすめです。

玄武神社
住所/京都市北区紫野雲林院町88
電話番号/075-451-4680
Webサイトはこちら

ライター(京都市)

大阪生まれの大阪育ち、京都在住のライター・DTPデザイナー・イラストレーターです。京都の情報誌を経てフリーランスになりました。よろしゅうおたのもうします。

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