2018シーズン注目のニューモデルを斬る!(3)スズキ「スウィッシュ」が挑む新たな10インチ革命
大人が納得する上質感と充実装備
スズキから原付二種スクーターの新型モデル「SWISH」(以下、スウィッシュ)が登場、6月26日から発売される。スクーターを乗り継いだベテランも納得できる上質感と充実した装備が与えられたスタンダードスクーターとして開発されたという。
小回りの利くコンパクトな車体に広々としたフラットフロア、快適なライポジと足着き性の良さなどが特徴で、街の景色に溶け込むスタイリッシュなデザインでまとめつつ、フルフェイス+αが入る大容量シート下トランクやUSB電源ソケットを備えるなど、日常での利便性も高められているのが特徴だ。
従来モデルを上回る加速性能
エンジンは昨年デビューした「アドレス125」の空冷2バルブ単気筒SOHC124ccがベースで、最高出力9.4ps(6.9kW)/7,000rpm、最大トルク1.0kgf・m(10N・m)/6,000rpmのスペックは踏襲するものの、駆動系や吸排気系の改良により強力な加速性能を実現。
スズキの計測データによれば、0-200m発進加速で0.1秒、30km/hからの追い越し加速で0.3秒のアドバンテージを記録。もちろん現行の「アドレス110」や生産終了した「アドレスV125S」をも上回る性能となっている。さらに燃費性能は51.5kmとクラス最高レベルを実現した。
あらゆる手段で10インチの弱みを克服
今回最も注目すべきポイントは、スウィッシュには前後10インチの小径タイヤが装備されていることだ。スズキでは原二スクーターの約5割が通勤・通学に使われているというデータに着目。使い勝手や取り回しの良さを最優先した結果、前後10インチの採用に至った。
ただ、小径タイヤは軽快性に優れる一方で安定性に欠けるというデメリットもあり、それを克服するために「あの手この手を使って」工夫したという。
ひとつは足まわりの強化で、前後タイヤとも共通となる100/90-10の太いサイズを採用することでジャイロ効果を高めつつ接地感とグリップ性能を向上。合わせてフロントにインナーパイプ径φ33mmの極太フォークと、リヤサスに複筒式オイルダンパー装備の2本ショックを採用することで安定性を確保した。
車体面でもフレームに大径パイプを採用して剛性強化しつつ、キャスター角などのディメンションでもバランスを最適化。同時に燃料タンクをフロアボード下に配置することで低重心化も実現している。
これらの工夫により、10インチ本来の小回りの良さと、大径タイヤと遜色ない安定性を両立したという。
GSX-R譲りの顔を持つコストをかけた作り
また、スーパースポーツGSX-Rシリーズを彷彿させる縦型2灯LEDヘッドランプや、スポーティな多角断面マフラーカバーを採用。フル液晶デジタルメーターやワンプッシュでエンジン始動可能な「スズキイージースタートシステム」を搭載するなど、先進感のあるエクステリアと装備も魅力的となっている。
プライス的には小売価格31万8,600円と「アドレス125」より10万円近く上がってしまったが、その分コストをかけてしっかり作り込んだということだろう。
さらに今回バリエーションモデルとして発表された「SWISH LIMITED」は、防風効果を高めるナックルバイザーやグリップヒーター、シートヒーターを装備した冬仕様として、9月に発売予定とのことなので楽しみだ。
▲SWISH LIMITED
新時代の「通勤快速」となれるか!?
SWISHとは“シュッと動く”など素早い動作を意味する擬態語だとか。名は体を表すの言葉どおり、キュッと小さくまとまったフォルムとサイズ感、そして前後10インチのコンパクトな足まわりを見ていると、かつて“都会の通勤快速”として一時代を築いた「アドレスV125」とイメージを重ねるも人も多いことだろう。
まさにコンセプトはそのままに、現代的に洗練されたスタイルと所有感、走りの性能が与えられたのがスウィッシュと解釈していいと思う。その意味ではスウィッシュは「アドレスV125」の進化版なのだ。新世代の10インチモデルによる通勤革命をしかと見届けたい。