「人を殺してみたかった」:19歳女子大生老女殺人事件の犯罪心理学1
■「人を殺してみたかった」「誰でもいいから殺したかった」
昔なら、「動機なき殺人」と呼ばれました。でも、今やこんな殺人も、10年に一度の事件ではなくなったのかもしれません。
また、事件は起きてしまいました。
■殺人の動機
一般的なの殺人の動機は、怨恨など人間関係のもつれ、強盗など金目当て、あるいは他の犯罪を隠すためなどです。しかし、そのような、わかりやすい動機がない殺人もあります。
恨むような特定の人間関係もありませんし、相手が金を持っているわけでもありません。誰でもよかったわけです。昔なら、「動機なき殺人」ですが、現代だと、様々な心の問題が注目されます。そして、取調べの中での供述として「人を殺してみたかった」「誰でもいいから殺したかった」が報道されます。
■「人を殺してみたかった」「誰でもいいから殺したかった」の殺害動機
今回の事件は、まだ第一報が入っただけですので、詳細は不明です。ただ、容疑者は大学生ですから、今までの人生はそれなりに社会に適応してやってきたのでしょう。
誰でもいいと感じる殺人には、いくつかのパターンがあります。
- 殺人に性的快感を感じる(「快楽殺人」:神戸連続殺人事件(酒鬼薔薇事件)など)
- 死や遺体への知的好奇心とも言える殺人(佐世保女子高生殺害事件、母親タリウム毒殺未遂事件など)
- ただ殺すことが目的としか言えない殺人(「純粋殺人」:愛知県豊川市主婦殺人事件など)
- 自分も世の中も終わりにしてしまおう、最期に世の中を見返してやろうといった通り魔的殺人(「拡大自殺」:秋葉原通り魔事件など)
このような猟奇殺人事件は、欧米では時おり発生していましたが、日本ではめったにありませんでした。日本が今後欧米のようになっていくのかどうかは、まだわかりません。
加害者への制裁、被害者遺族の保護に加えて、事件解明によって今後の類似事件を防止する方策を考えなくてはならないでしょう。
補足 21:50
自室で77歳殺害容疑=名大の19歳女子学生逮捕―「人を殺したかった」・愛知県警 時事通信 1月27日のオーサーコメントを書きました。
「時事通信は学校名を出していますね。またネット上では容疑者のSNSでの発言(真偽は未確認)が話題になっています。少年法の精神は守りたいと思いますが、全てを秘密にしてしまっては社会は犯罪から学べません。社会全体の冷静な態度が求められています。」
現代は、多くの人がネット上に発言を残しています。安易な拡散は、少年法の精神に反するするでしょう。しかしまた、加害者の心を考え、今後の類似事件防止を図る上で、大きな参考になる可能性もあるでしょう。
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BOOKS
藤井誠二著 『人を殺してみたかった―愛知県豊川市主婦殺人事件』
碓井真史著 『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』