職業は「挑戦者」。“女子ボクシング界のレジェンド”は今
世界三階級制覇のレジェンドがオクタゴンで衝撃KO
本日6月6日(土)、19時よりTOKYO MX2(092ch)で、総合格闘技イベント『REAL(リアル)』の録画中継番組がオンエアされる。
5月2日に神奈川・横浜文化体育館で開催されたキックボクシング『ZONE(ゾーン)』との合同興行を、2時間に凝縮した内容になるという。
すでに「REAL×ZONE」のオフィシャルサイトでも試合結果がアップされているが、REALでは全8試合中、5試合がKO決着と、総合格闘技初観戦の観客にとっても分かりやすく、刺激的な試合が多かった。
その中で、特に強烈なインパクトを残したのが、唯一の女子ワンマッチとしてラインナップされたライカ(フリー)vs沙弥子(TeamTBP)の一戦だ。ライカは、世界三階級制覇を果たした女子ボクシング界のレジェンド。一方の沙弥子は、今回が総合プロデビュー戦ながら柔道歴10年、女子総合格闘技界待望のスター候補生。究極の新旧対決にして、打撃vs寝技の真っ向勝負という図式だけに、戦前からこの一戦への期待値は高かった。
果たして、結果はその期待値を上回る、というより“ぶち破る”ものとなる。ぶち破ったのは、伝家の宝刀ともいえるライカの右拳。プロボクサー時代にもここまでは……と思わせる会心の強打は、大いなる可能性を秘めた24歳の新鋭に脳震とうを起こさせるほどだった。
「ずっと負けていて、パンチもずっと出ていなくて。今日こそ得意のパンチで勝ちたかった」という試合後のマイク、そしてウエイティングルームに戻り「勝ててほっとした」と言いながらにじませた涙が、“1勝”の重みを物語る。
昨年9月、総合格闘技に初挑戦、12月に総合2戦目を闘ったものの、いずれも苦杯をなめていた。ライカにとって、この1勝は悲願の総合初勝利だった。
生きる場所を求め、再びリングへ
「やっとリングに戻ってこれました」
試合翌日、改めて話を聞くと、ライカは心から安堵した様子でまず、そう言った。
周囲の引退宣告を受け入れ、ライカがボクシングのリングを離れたのは、キャリア14年目の昨年1月。リングを「生きる場所」と決めてきただけに喪失感は大きく、自失の時期が続いた。
再び希望の光を見出したのは、アルバイト先の歯科医院で、院長に言われた一言。「ライカも総合(格闘技)をやってみたらいいよ」。試合を見たこともほとんどない、未知の世界だったが、だからこそ、やりがいがあるのではないか。心に響くものを感じ、すぐさま練習場所を求めた。
レスリングや柔道の覚えはない。練習では易々とタックルで倒され、得意のパンチも封じられた。
「総合ってどう闘うのか、とにかく全然分からない。それでも、試合のオファーが来たときは断らなかった。『負けてもいいから出ます』という受け身の姿勢だった。中途半端な気持ちのまま、総合のリングに上がっていたんです」
リングで戦うことだけが“挑戦”ではない
昨年12月、老舗団体『DEEP』での2度目の敗戦をきっかけに、ライカは自己変革を決意する。
「もうボクシングを何十戦もやってきましたから、『次は絶対に勝つ』とは怖くて言えない。でも、応援してくれる人たちに『覚悟を持ってやります』と堂々と言えるくらい、総合に対して本気で取り組もう、腹をくくろうと」
ハードワークがたたり、試合2週間前には帯状疱疹に悩まされた。それでも、練習を休む不安に耐えきれず、体を動かし続けた。
「ボクシング時代は、いつも『これが最後になるかもしれない』という気持ちでリングに立っていた。リングって、やっぱり何が起こるか分からない場所だから。今回も、親しい人に『何かあったら後はよろしく』と連絡しました。そのくらいの覚悟を持って、今回初めて総合のリングに立ったんです」
なぜ戦い続けるのか。最後の質問に、ライカの答えは明快だった。
「常に挑戦し続けたい。チャレンジャーでいたいんです。それが自分のやりたい生き方っていうかね。ボクシングを始めた時も、女だから無理だ、やめておけって言われて、それで余計になりたくなったから。
挑戦てね、別にリングで戦うことだけじゃないと自分は思っているんです。だから、この先リングを下りても、きっと何かに挑戦してると思いますよ」
プロボクサーの肩書は下ろしたとしても、「挑戦者」の肩書はおそらく一生掲げ、背負い続けるのだろう。
この1月、ライカは39歳になった。
◆大会オンエア情報
番組名:『REAL×ZONE 第二章~史上初、リング&金網 武道復活!~』
放送日時:2015年6月6日(土)19:00~21:00
放送局:TOKYO MX2(CH092)
※TOKYO MX2 視聴方法 → http://s.mxtv.jp/multi_guide/
◆REAL×ZONEオフィシャルサイト
http://www.f-globe.jp/