中食はどこまで利用されているのだろうか(2020年10月発表版)
中食は食生活の向上に貢献しているのはもちろん、調理のアウトソーシングとも表現できる。現在どこまで浸透しているのだろうか。今回は厚生労働省が2020年10月に発表した「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」(※)の内容から、その実情を確認する。
次に示すのは中食(持ち帰りの弁当・総菜の利用)を日常生活においてどの程度利用しているかを尋ねたもの。回答者は20歳以上の成人で、婚姻の有無、就業中か否か、世帯構成などは問われていない。成人全体としての、あるいは各年齢階層それぞれの全体的な値であることに注意。実際には就業状態などで外食の利用頻度は大きな違いを見せるのは言うまでもない。参考事例として同調査で行われている外食の利用頻度も挙げておく。
属性に区分した上での最大値こそ外食の方が上だが(外食は男性20代の66.9%が最大、中食は男性40代の58.2%が最大)、全体の値は男女ともに中食の方が大きい。男女別では外食のように男性の利用頻度が高いこともなく男女でほぼ同様に、定年退職を迎えた60代以降でもそれなりに利用されており、中食が多くの人にとって食生活を支え、欠かせない存在となっていることが分かる。特に高齢層においての利用頻度が、外食と比べてかなり高く、食品スーパーやコンビニで高齢者の姿をよく見かけるようになった状況を裏付ける数字が出ているのが興味深い。
この中食の平均利用回数を算出したのが次のグラフ。中食を利用しない人も合わせた平均値と、中食を利用する人のみにおける平均値を併記している。こちらも参考事例として、同調査で行われた外食の平均利用回数も挙げておく。
単なる平均回数も、利用者に限定した平均回数も、外食と比べておおよそ高めに出ている。男女別ではやや男性の方が多めだが外食ほどの違いはなく、また、年齢階層別の違いも大きなものとはなっていない。現役世代はもちろんだが、引退世代においても中食の存在は欠かせないものとなっていることが改めて理解できよう。
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※国民健康・栄養調査
健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素など摂取量および生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とするもの。調査時期は2019年11月中。今回調査分では調査実施世帯数は2836世帯で、調査方法は調査票方式。
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