韓国時代劇『オクニョ』主演のチン・セヨンと恐怖の史実豆知識について
毎週日曜日午後11時からNHK総合テレビで放映中の韓国時代劇ドラマ『オクニョ 運命の女(ひと)』。本日5月6日には第5話が放映されるが、それを楽しみにしている視聴者たちも多いことだろう。
成人した主人公を演じる人気女優
先週の第4話では途中から、一気に5年の歳月が進み、それまで少女だったオクニョが成人になった。主人公オクニョを演じるのも天才子役チョン・ダビンからチン・セヨンに変わっている。
オクニョの少女時代のファンたちはちょっぴり寂しい気持ちになっているかもしれないが、これから物語の主人公を演じるチン・セヨンも注目だ。
チン・ヨセンは今、韓国でも人気急上昇中の女優。もともと数々のドラマ・映画で活躍していたが、韓国で『オクニョ』が放映された2016年にその知名度が一気に高まり、今年3月からは大手新聞社『朝鮮日報』系のケーブルテレビ局TV朝鮮の大作時代劇ドラマ『大君(テグン)愛を描く』に出演している。
(参考記事:【韓国現地情報と秘蔵写真も入手】時代劇『オクニョ』主役チン・セヨンとはどんな人物なのか)
くしくも『大君』は本日5月6日に最終回を迎えるが、「チン・セヨン『オクニョ』→『テグン』で証明した“時代劇クイーン”の真価」(『ニュース1』)と報じられるほど、高い評価を受けている女優なのだ。
「先代の王の毒殺説」は本当か
そのチン・ヨセンが演じる成人したオクニョは先週の第4話で捕盗庁(ポドチョン)の茶母(タモ)の試験に不合格になってしまった。
これからのオクニョも行方も気になるところだが、それ以上に気になったのは第4話で登場したいくつかのキーワードではないだろうか。
オクニョの師であるパク・テス(チョン・グァンリョル)がぽつりと漏らした「先代の王・仁宗」。明からの使臣が口にした「先代王の毒殺説」。そして、そのことについて話し合うユン・ウォニョン(チョン・ジュノ)と文定王后。
一連の場面は意味深だがドラマの描写だけではわかりづらい部分もあったかと思うので、史実をもとにその背景を紹介したい。
就任8か月、30歳でこの世を去った王
まず『オクニョ』の時代劇背景となっているのは、16世紀半ばの朝鮮王朝時代。朝鮮王朝・第13代王・明宗(ミョンジョン)の時代だ。明宗は11歳で王位に就いている。
それは第12代王の仁宗(インジョン)が急逝したためだ。この仁宗が前出した「先代王」なのだが、仁宗は王位についてわすが8か月でこの世を去っている。しかも、まだ30歳の若さだったのだ。
仁宗がまだ世子(セジャ/王位継承者)だった頃、宮中では「灼鼠の変」と言われる奇怪な事件が数多くが起きているが、それにしても30歳の若さで、それも王位に就いて8か月で急逝するのは不可解だろう。
そのため、韓国史では、何者かの手によって毒殺されたという説が根強い。
毒殺説の中心にいるのはあの人物!!
そして、その犯人としてもっとも有力視されているのが、仁宗の継母で明宗の実母である文定王后なのだ。
文定王后は第11代王・中宗の三番目の王妃だった。中宗の二番目の王妃だった章敬王后が仁宗を出産後に亡くなってしまったため、中宗は1517年に文定王后と再婚し、彼女は第三王妃であり仁宗の継母となった。
当初は仁宗をかわいがったそうだが、彼女は1534年に中宗との間に待望の男子を設ける。それが明宗だったわけだが、自分の子を王にするには仁宗が邪魔だった。それで仁宗の暗殺を企てたのでないかという説だ。
(参考記事:文定大妃とは誰なのか? 『オクニョ 運命の女(ひと)』の鍵を握る“悪女”の実像とは)
ドラマの今後のネタバレになってしまうのでここまでにとどめておくが、その手口はかなり巧妙だったという説もある。ドラマ『オクニョ』の第4話の意味深場面は、この仁宗毒殺説を触れていたのだ。
徳川幕府とは異なる朝鮮王朝
ちなみに朝鮮王朝は、1392年に王となり翌1393年には明の了解を得て国号を「朝鮮」とした始祖の李成桂(太祖)から、1926年に死去した純宗(スンジョン)まで計27人の王がいて、6人の王に毒殺疑惑があるが、仁宗がもっとも毒殺された可能性が高いと言われている。
朝鮮王朝の時期は、日本でいえば室町時代から江戸時代、さらには明治時代と重るが、君主制だった朝鮮王朝は、王権を巡ってさまざまな権力争いや陰謀などかうごめいてきた。
(参考記事:“蜜月関係”を200年以上も維持した徳川幕府と朝鮮王朝。両政府が乗り越えた違いとは?)
そういった史実をもとにフィクションという味付けを加え、エンターテインメントにしてしまうのが韓国時代劇の魅力のひとつでもある。
本日放映される『オクニョ』第5話では、当時のことがどのように描写されるのだろうか。楽しみにしたい。