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扇打ちや水中花火、海を染める花火が美しい「津花火大会」(2024/7/27開催)その魅力をレポート

やた香歩里花火鑑賞士な旅ライター

7月・8月は全国で花火大会が開催され、しかも魅力的な花火大会が同日に開催されるので、いろんな花火が見てみたいタイプの花火好きとしては、毎週どの花火大会を見に行くか、悩ましいです。

7月最終週の週末は、おそらく一年で2番目に花火大会が開催される週末(一番は8月第一週)。その2024年7月27日(土)、私は三重県津市の「津花火大会」を見に行くことにしました。その様子や魅力をレポートします。

津花火大会とは

三重県の中央部、県庁所在地でもある津市は、城下町として栄えたところ。海側には長い海岸線を有し、「津花火大会」ではその阿漕浦海岸沖から花火を打ち上げます。

主な観覧場所は阿漕浦海岸とその南側の御殿場海岸で、広いエリアから見ることができます。2024年は、2016年から続いていた海岸の堤防工事が完成、約3kmに及ぶ堤防道路を歩行者天国にして、観覧することができるようにしていました。

アップダウンもなく、少し高さがあり海もよく見える道路で、確かにこれは花火観覧には最高。

ちなみに、堤防道路の北側の入り口にはヨットハーバーがあり、出店がたくさん並んでいました。

出店はここだけでなく、海岸にもところどころ出店を出しているエリアがあったので、観覧場所に近いところでも飲食物は調達できましたが、出店の数や種類は少なかったです。手軽に調達したいなら観覧場所近くで、屋台グルメをたっぷり楽しみたかったり、好みの食べ物を選びたければヨットハーバー近くで、と使い分けるといいですね。

そして観覧場所へ

海上には、花火打ち上げ用の台船が見えます。台船は1隻のみ、ここからすべてを打ち上げるのでしょうか。

台船の真正面の砂浜には協賛者招待エリアが設営されていました。でもエリア自体はそれほど広くはないので、周辺の砂浜、堤防道路など、無料でも全体をしっかり見られる場所がたくさんありました。

私は協賛していたので協賛者エリアで見ることもできたのですが、イス席は多分撮影しにくいだろうなと思ったのと、堤防道路なら前に人がおらず、少し高い位置から撮影できて、花火を反射する海面もよく見えそうだったので、堤防道路で観覧しました。

右手の茂みの向こうに協賛者招待エリアがありました。手前の砂浜は無料で観覧できるエリアになっていました。
右手の茂みの向こうに協賛者招待エリアがありました。手前の砂浜は無料で観覧できるエリアになっていました。

到着した16時半頃にはまだそれほど人も集まっていなかったのですが、さすがに真正面になる位置はもう場所取りされていました。正面を少しずれると木が画角に入り込むので、正面はやめて、少し斜めでも障害物なく花火が見える場所を確保。準備をして、開始を待ちます。

20時、打上開始!

打上は日もすっかり落ちた20時スタート。予定通りに打ち上げが始まりました。

津花火大会の打ち上げの特徴はなんといっても

台船から斜めに打ち出し扇状に広がる花火。

トリコロール!
トリコロール!

台船1隻でもこれだけ広がります。

シリーズ3:「ダンシングファイヤー」は変化する時差式花火などをメインにしたパート
シリーズ3:「ダンシングファイヤー」は変化する時差式花火などをメインにしたパート

海面もきれいに照らされています!

さらにそこに高い位置にも打ち上げられると、バランスのいい三角形に。
色も形もとてもフォトジェニック。

扇打ちの花火だけではなく、1つ1つ上がる花火もあります。

写真で見ると単調な感じに見えるのですが、形がきれいで色合いも美しかったり、色が変化したりと、1つ1つそれぞれに楽しめます。

予想外に高く上がってフレームアウト気味
予想外に高く上がってフレームアウト気味

日本の花火は本当に繊細なので、その造形をじっくり楽しんでいただきたいですね。

今年の打上担当は、岐阜県に本社を置く高木煙火株式会社。各地の花火競技大会での優勝・入賞の実績がある煙火店です。2018年の安室奈美恵さんの引退日に開催され、その後5年にわたり行われた「WE * NAMIE HANABI SHOW」(*は正式にはハートマーク)の花火を手掛けたことでも知られています。

シリーズ4:「ときめきイルミネーション」は点滅花火を多用したパート
シリーズ4:「ときめきイルミネーション」は点滅花火を多用したパート

こちらもシリーズ4、八方咲きが一斉に咲いて美しい!
こちらもシリーズ4、八方咲きが一斉に咲いて美しい!

シリーズ6「海に映る巨大しだれ桜」では、美しい桜色が!

可愛らしいピンク色で、海面も薄紅色に染まっています。

そしてシリーズ7「水上孔雀の舞」では水中花火が!

同時に打ち上げ花火も上がります!

船で走りながら海中に花火を投げ入れます。
最初は遠くに見えた花火が、どんどん近づいてきます!

目の前で大きく半円に開く花火に、会場も大歓声!海も七色に染まります。
70発もの水中花火を堪能しました。

そしてシリーズ7は「ザ・エメラルド・ワールド」名前の通り鮮やかなエメラルドグリーンが空に海に広がります!

フィナーレでは金色の花火が空と海面を染めて

約1時間の打ち上げは終了しました。

単発の花火からスターマイン(速射連発花火)、そして水上花火まで、多彩でカラフルな花火をたくさん見ることができました。流行りの音楽花火はありませんが、絵になる花火の連続で、とても見ごたえがありました。

今回、私は津駅前からのシャトルバスを利用しました。帰りは40分ほど並びましたが、たくさんのバスが投入されていたので、列の進みは早かったです。

津駅までは徒歩だとヨットハーバーから1時間近くかかるようですが、津新町駅までなら30~40分。打ち上げ場所近くの海岸からなら阿漕駅が近く、徒歩で20~30分ほどとのこと。歩いて駅に向かう人も多かったです。

静かな湾で開く美しい花火はとてもフォトジェニック。

観覧できる場所が広いので、真正面にこだわらなければ、場所取りも余裕でした。

有料席で花火を見るのが主流になりつつある昨今、夜風を感じながら無料でゆったり見られる花火大会は貴重かもしれません。

花火をじっくり楽しみたい人も、ビール片手に気軽に楽しみたい人も、それぞれ気ままに楽しめる雰囲気がとてもいいです。

もっと話題になってもいいと思うし、打ち上げ場所や観覧会場をもっと広くとって規模を拡大することも可能だとは思います。でも、素敵な花火をのんびり見られる「とっておき」感のあるままでいてほしい、そんな気持ちにもなる花火大会でした。

【開催概要】
開催日時:2024年7月27日(土)20:00~21:00
打上場所:三重県津市 阿漕浦海岸沖南方
「第71回 津花火大会2024」公式サイト

花火鑑賞士な旅ライター

宮崎生まれの大阪育ち。人生の約半分を京都で過ごし、現在は千葉在住。もとからの旅好きが、関東移住を機に花火にはまり、旅の目的に花火鑑賞が加わりました。遠くへの旅行も好きだけど、身近なお出かけも好き。どこかで見た素敵なものを、誰かに伝えたい。知って欲しい誰かと知りたい誰かを繋ぎたい。日本酒ナビゲーターで温泉ソムリエで花火鑑賞士な旅人。

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