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自衛隊への好印象度は89.8%

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 自衛隊への国民の評価は。(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

・2018年1月時点の調査結果では自衛隊によい印象を持つ人は89.8%。悪い印象は5.6%。

・年齢階層別では大よそ年上ほど強い好印象を持つ。

・自衛隊への好印象度は大よそ上昇傾向。世界で大きな戦争があると下がる傾向がある。

自衛隊に好印象を持つ人は約9割

内閣府が発表した自衛隊・防衛問題に関する定期世論調査(※)の結果報告書によると、自衛隊に対してよい印象を持つ人は89.8%に達することが分かった。年齢階層別では大よそ高齢層ほど、強い形での「よい印象」を持っている。

「全般的に見て」陸上・海上・航空すべてを合わせた自衛隊そのものに、回答者がよい印象を持っているか、それとも悪い印象を持っているかに関して、「よい」「どちらかといえばよい」(以上「よい派」)、「分からない」(意見留保派)、「どちらかといえば悪い」「悪い」(以上「悪い派」)の5段階評価で尋ねたところ、全体では89.8%の人が「よい派」に該当する回答を示した。「悪い派」は5.6%に留まっている。

↑ 自衛隊に対する印象(2018年)
↑ 自衛隊に対する印象(2018年)

男女別ではやや男性の方が、年齢階層別ではおおよそ高年齢ほどよい印象を示している。他方18~29歳層と30代では「悪い」の回答が皆無の代わりに「どちらかといえば悪い」が高めに出ているのも目に留まる。年が上になるに連れて「悪い派」の値は減る傾向にあるが、その一方で「悪い」の回答が少数だが出現する。

この「よい派」「悪い派」の動向について、前回調査(2015年1月実施)の結果と比較し、「よい派」から「悪い派」をそのまま引いた値と、「分からない」の回答率それぞれについて、その変化を見たのが次のグラフ。「よい-悪い」の値がプラスならその属性は3年間で好印象派が増え、マイナスなら悪印象派が増えたことになる。「分からない」がプラスなら評価を留保する人が増え、マイナスならば自衛隊などに対する評価を固めた人が増えたことを意味する。ただし2015年時点の調査では最若年層の階層は18~29歳では無く20代だったため、厳密な比較とはいえず、参考値レベルの精度となる。

↑ 自衛隊に対する印象(属性別、2015年→2018年の変移)
↑ 自衛隊に対する印象(属性別、2015年→2018年の変移)

全体的には「よい-悪い」はマイナスに動いているが、それと同時に「分からない」は増えており、よい印象を持っていた人が意見留保にシフトした感はある。

他方男性、20代(18~29歳)と50代、60代に限れば「分からない」の増加を大きく超える形で「よい-悪い」の値がマイナスに大きく振れており、好印象の度合いが減ったように見受けられる(もっとも20代(18~29歳)では上記説明の通り、統計上のぶれの結果が出た可能性はある)。30代はそれとは別の動き、具体的には意見留保の人はほとんど変わらずによい印象の人が増えており、悪い印象を持っていた人がよい印象に移行したように見える。

自衛隊への印象の経年推移は

男女別・年齢階層別で多少の差異はあれど、自衛隊への印象に関しては「よい派」が圧倒的なのがひと目で分かるが、これは経年推移の上でも特筆すべき傾向。「よい派」「悪い派」に単純化した上で、1969年以降の調査結果の推移をグラフ化したのが次の図。

↑ 自衛隊に対する印象の推移
↑ 自衛隊に対する印象の推移

「よい印象」がイレギュラー的に減り、「悪い印象」が増えた年を調べると、軍事関係で大きな歴史的出来事が起きているのが分かる。繰り返しテレビや新聞でそれらの事象が報じられ、多かれ少なかれ直接に関連する形で、あるいは文言では語られなくとも印象的に自衛隊との連動イメージ(大よそ悪い方)が刷り込まれ、結果として調査にも反映する面があったものと思われる(2009年の減少はリーマンショック直後であることから、景気悪化などから生じた社会体制への不満が飛び火したものと思われる)。

一方、最近の動きで目に留まる、2012年の調査結果における「よい印象」の大幅な上昇は、言うまでも無く東日本大地震・震災における自衛隊の活躍によるところが大きい。無論縦横無尽の活動を行ったのは自衛隊だけでは無いのだが、今調査では自衛隊への印象のみを聞いており、このような結果が出て当然の話。

中長期的に見ると、自衛隊の印象は大よそよい方向に移行する動きを示している。現状認識・認知がなされ、浸透が進んできたということだろう。

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※自衛隊・防衛問題に関する定期世論調査

2018年1月11日から21日にかけて、層化二段無作為抽出法によって選ばれた18歳以上の日本国内に在住する日本国籍を持つ人に対し、調査員による個別面接聴取法で行われたもので、標本数は3000人、有効回答数は1671人。有効回答者の男女構成比は781対890。年齢階層別構成比は18~29歳が133人、30代が175人、40代が271人、50代が265人、60代が361人、70歳以上が466人。

過去の調査もほぼ同様の条件で行われているが、今回調査の2018年は年齢の下限が18歳、前回調査の2015年までは20歳となっている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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