若者で増えるイライラ状態、理由は多種多様
さまざまな進歩発展で人の生活は効率的で便利になっているはずだが、同時に要求される時間的な拘束は一層強まることになる。当然、ストレス、いらいら感もより高まりを見せることが容易に想像でき、実態感を覚えさせる。そこで統計数理研究所による定点観測的調査「日本人の国民性」を基に、数字の上で実情を確認していくことにする。
次のグラフは「一か月の間にいらいらしたか」との設問に対する答え。1993年以降の調査結果が確認できる。
確実に増加傾向にある、いらいら感がつのる状況にあるのが分かる。1993年から2013年の20年間で12%ポイントの増加。最新調査結果では「いらいら感を覚えた」人が「いらいらしていない」人を上回ってしまった。
これを各調査時点の回答者の年齢階層別に見ると、全体的な「いらいら」感の底上げは、各年における若年層、特に20代から40代によるものであることが分かる。
1993年~1998年はすべての階層で増加しているが、1998年以降は「50代以降は横ばい」「40代以下は急勾配で上昇」している。この10年間において、「40代まではいらいら感が増す」「50代以降はこれまでと変わらない」社会的な変化が起きたと考えられる。また直近の2013年では上昇派に50台が加わる一方で、60代以降は逆にわずかではあるが減少する動きさえ示している。いらいら感の世代的二分化、そしていらいら感ありの若年層の年齢的区切りが少しずつ上昇しているようだ。
その「変化」に関するヒントとなりうるのが、2008年発表時に「結果のポイント」として特記解説されていた、他の項目とのクロス集計結果。
経済面の不満・仕事や職場への満足感・生活全体への満足感の3項目で、不満・不安度別に「いらいら」を感じたか否かを再集計した結果。各項目で不満や不安を多く抱える人ほど、いらいらを覚える割合が高くなっている。発表時では解説で「このような関係は、程度の差こそあれ、どの年齢層でも認められる」とあるが、結果として「いらいら」感の推移が一つ上のグラフに出ている通りである以上、少なくとも経済・職・生活全体の面において、20~40代、直近ではそれに加えて50代の間に、不平不満が高まりを見せていると考えてよさそうだ。そしてその感情が「いらいら感」というシグナルの形でで表れているのだろう。
前世紀末期以降若年層から中堅層の間に増加する「いらいら」が、何を原因とするものなのか。同じ年代を生きているにも関わらず、「いらいら」率が増えない50代以降、直近ならば60代以降との違いを探せば、そして最後のグラフに掲げた3項目について考え直せば、おのずから結論は導き出せるに違いない。
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