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Apple、ソニーミュージックとiRadioで契約を結ぶ、大手レコード会社3社全てと合意

ジェイ・コウガミデジタル音楽ジャーナリスト

Appleは、噂される新音楽サービス「iRadio」の開始に向けて、大手レコード会社でまだ契約に合意できていなかったソニーミュージックとライセンス契約を締結しました。ITニュースサイトのAll Things Dがレポートしています。

Appleはこれでユニバーサルミュージック、ワーナーミュージック、ソニーミュージックと3大レコード会社と原盤権利用契約で合意したことになります。

Apple、音楽ストリーミングサービス「iRadio」開始に向けてユニバーサルミュージックとライセンス契約で合意との噂

Apple、ワーナーミュージックと 「iRadio」開始へ向けてライセンス契約で合意、6月のWWDCで正式発表か?

Appleは来週10日(日本時間11日午前2時)に開幕する、開発者向けカンファレンス「WWDC 2013」でiRadioの発表が行われる予定です。

また音楽ニュースサイトBillboardによれば、Appleはソニーの著作権を管理する音楽出版事業ソニー/ATVともライセンス契約で合意したと伝えます。ソニー/ATVはソニーの音楽カタログ以外にもEMIの音楽カタログを扱っています。ソニー/ATVのCEOマーティ・バンディアー(Marty Bandier)は、「2年の特別契約」で合意したと語っています。この契約は、AppleがiRadioの広告収入から得る10%を受け取る契約で、業界最大規模の支払いとなります。通常音楽出版社はネットラジオ大手のPandoraなどとは4%のライセンス契約を結んでいます。

原盤契約を大手レコード会社と結んだAppleが契約を残すのは、ユニバーサルミュージックの音楽出版部門ユニバーサルミュージック・パブリッシンググループだけになります。

Apple は交渉において以前は広告収入の4.1%を支払う契約を提示しましたが、この内容な音楽出版社に却下されました。BMG、ソニー/ATV、ワーナーチャペルなど音楽出版の幹部はiRadioの広告収入から10%-15%を受け取る契約を望んでいました。そしてAppleが10%の支払いに応じたことによって、ワーナーチャペルが合意し、そして今回ソニー/ATVも契約に至ったと考えられます。

ワーナーチャペル、ソニー/ATVが契約に応じたことから、ユニバーサルミュージック・パブリッシンググループも間もなく契約を締結することが予想されます。原盤と著作権契約を全てのメジャーレーベルと合意することができれば、iRadioを正式に発表するでしょう。

iRadioの特徴

iRadioは、無料の音楽ストリーミングサービスで、全米で人気のPandoraと近いネットラジオ機能を提供すると噂されています。つまりSpotifyやRdioのようなオンデマンドではなく、アーティストや楽曲、アルバムをベースにリスナーの嗜好に適した音楽を再生し続けてくれるラジオステーションが主な機能になると考えられます。

一方で競合するPandoraなどネットラジオとの違いは、iTunesで聴いた楽曲が即座に購入できるシステムや、iTunesで購入した楽曲を参照して音楽をレコメンドしてくれることなど、iTunesと強く連携していることが特徴です。

音楽ビジネス関係者、特にレコード会社と出版社にとってはiRadioがiTunesビジネスをさらに拡大し、世界的に成長しているデジタル音楽からの収益を増加させてくれると期待しています。iRadioは今年後半でのローンチが予想されています。

iRadioが現実にまた一歩近づいたと思うだけでワクワクしてきました。WWDCでの発表が楽しみです。

デジタル音楽ジャーナリスト

専門は「世界の音楽ビジネス、音楽業界xテクノロジー」の執筆・取材・リサーチ。音楽ビジネスメディア「All Digital Music」、音楽業界専門のマーケティング支援会社「Music Ally Japan」や、音楽ストリーミング・データ分析プラットフォーム「Chartmetric」日本事業展開も担当。グローバル音楽業界、レコード会社、ストリーミングサービスのビジネスモデル、トレンド分析、企業分析に関する記事執筆多数。

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