バブルの様相強めつつある米国株式市場
ここにきて米国株式市場では、ダウ工業株30種平均、ナスダック総合株価指数、S&P500種株価指数がそろって過去最高値を更新している。ダウ平均は2万ドルが節目となっていたが、そこを抜けたこともあり、上昇圧力が強まったようにみえる。
この米国株式市場の上昇にはいくつか背景がある。そのひとつを象徴するのがゴールドマン・サックスの上場来高値更新であろうか。ゴールドマン・サックスなど金融株の上昇の要因にFRBの利上げ観測がある。イエレン議長は14、15日の議会証言で利上げに前向きの姿勢を示した。
15日に発表された1月の米消費者物価指数は前月比で0.6%もの上昇となった。前年比では2.5%の上昇、コアCPIは前年比2.3%の上昇となるなど物価も利上げを後押しする要因となる。
ゴールドマン・サックスの上場来高値更新の要因としては、トランプ政権の閣僚に何人もの人材を送り込んだこともあるのではなかろうか。そのトランプ政権下で金融規制の緩和が進む事への期待や減税などの期待も株価上昇の要因となっている。
トランプ氏はIT企業とはやや距離を置いているようだが、アップルも上場来高値を更新している。新型iPhoneへの期待やトランプ政権が米企業が国外の資金を国内へ持ち帰る際にかかる税金の引き下げを提案しているとの報道なども材料視されているようだが、米景気の好調さも米国を代表する企業の株価を押し上げているのではなかろうか。
しかし、絶好調に見える米国株式市場の上昇に対し、利上げがその根拠のひとつとなっているにも関わらず、米長期金利やドルの上昇が鈍いことが気になる。米長期金利は2.5%台に乗せる場面はあっても押し返されている。ドル円も115円近辺に上昇しても押し返されて113円台に下落するなどしている。
こうなるとほとんど調整らしき調整もなく上昇してきている米株の動きの方が妙に見えてくる。米長期金利やドルの動きを見てそろそろ米株も注意しなければならないとしても、ここでショート(空売り)を仕掛けるのもリスクがある。もうはまだなりで相場上昇が続くことも当然予想される。これはこれで日本のバブル時のような様相にも近いように見えてくる。いずれにしても、ここからの米株の動向は注意してみておく必要がありそうである。