市場はトランプリスクも意識し始める
12日の東京市場では、11時過ぎあたりから日経平均は下落し始め、ドル円も同じタイミングで下落(ドル売り円買い)してきた。
国内でみると、特に何かあったわけではなかったが、これは何かしらに反応した動きにみえた。
どうもその要因に、米国のトランプ次期大統領が対中強硬派を国務長官に指名したことがあったようである。
これを受けて中国株が下落し、東京株式市場も下落した。リスク回避の動きなのか円高ともなった。
12日の欧州市場では、トランプ氏が次期政権で中国に対し強硬姿勢のマルコ・ルビオ上院議員を国務長官に起用する見通しとの情報を背景に、中国関連株が下落した。欧州市場ではトランプ氏による関税拡大による景気への懸念も強まっている。
トランプ氏は関税の引き上げや不法移民の強制送還などを掲げている。こうした政策が輸入物価の押し上げや人件費の上昇につながるとの見方がある。
大統領選と同時に実施した連邦議会選では共和党が上院の過半数を獲得。下院でも多数派となれば、いわゆるトリプルレッドとなり、トランプ氏の政策が進めやすくなる。
歳出削減をしないまま、トランプ氏の主張する政策を推し進めれば、財政赤字が拡大するとの懸念も出てくる。
これらを受けて米長期金利は上昇圧力を強め、節目とされる4.5%に接近した。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は12日、物価指標が想定する以上に上振れすれば「(利下げを)休止する理由になり得る」との考えを示した。
FRBの利下げにブレーキどころか、再び利上げが検討されるようなことになると、トランプ政権とFRBが対立姿勢を強める懸念も出てくる。
市場ではじわりじわりとトランプリスクも意識し始めつつある。