小中学生ともに「自分にはよいところがあると思う」と考えているのは8割足らず(2022年公開版)
海外の人と比べて日本人は自己肯定の意識が低いとの指摘がある。それでは今の小中学生は実のところ、どれほどの自己肯定意識を持っているのだろうか。文部科学省が2022年7月に発表した全国学力・学習状況調査(※)の結果を基に確認する。
次に示すのは、小中学生に対し自分自身によいところがあると思うかと尋ねた結果。具体的に何がどのようによいのかまでは尋ねていないので、概念的によいところがある、肯定できるものがあると考えているかを答えてもらっていることになる。小学生・中学生ともに8割近くが「自分にはよいところがあると思う」と回答している。強い認識も小学生・中学生ともに3割台後半。
小学生よりも中学生の方が、「自分にはよいところがあると思う」と考えている人が少ないのは、世の中のことをより広く詳しく知るに連れ、自分と比較し、否定につなげてしまうからだろうか。
自分にはよいところがある、自分を肯定できるとの意見を持つ人の割合(「当てはまる」「どちらかというと当てはまる」を合わせた値)を経年推移で見ると、一部イレギュラーな動きがあるものの、おおよそではあるが少しずつ増加の動きを示している。ただしこの数年、小学生で減少の動きが出ていたのは気になるところ。
特に中学生は2009年度から2022年度の間に17.1%ポイントも増えている。過度な肯定は問題となるかもしれないが、自分に自信を持つこと自体は悪いことではない。少なくとも自己肯定意識が低いということは無さそうだ。
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※全国学力・学習状況調査
2022年4月19日、国公立および私立の小中学校に対し悉皆調査方式(標本調査ではなく全体を調べる)で行われたもので、実施学校数は小学校が1万9122校、中学校が1万282校。教科調査(学力テスト)は国語と算数(数学)、理科が実施されている。なお2020年度は新型コロナウイルス流行により調査実施そのものが見送られている。
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