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トナカイさんへ伝える話(106)裁判傍聴・滋賀医科大生事件2

小川たまかライター
大津地方裁判所(筆者撮影)

(104)の記事の続きの内容です。

●被告両親の証言

・親に監督責任はあるのか

 強制性交等罪は5年以上の懲役。執行猶予は3年以下の場合につくので、強制性交等罪は基本的に執行猶予がつかない。

 ただし、酌量減軽(示談などで情状酌量された場合)で懲役の下限の半分まで減軽されることがあり、その場合強制性交等罪は3年以下の懲役になることがあるので執行猶予をつけることができる。

 被告側はこれを求めていて、情状酌量のために被告人の両親が出廷して証言していた。

 被害者に恐怖を与えないよう、再犯させないようにちゃんと監督するので、社会の中での更生を求めます、という内容。性犯罪事件で被告人の家族が出廷し、監督すると約束する場面は少なくない。独身の場合は親や兄弟が多く、既婚の場合は妻が出廷することもある。

 私は成人した子どものやったことに親が責任を取る必要はないと思っているので、こういうときに出廷して謝罪する親を見ると気の毒だなと思う(既婚者の場合の妻も)。性犯罪者を監督し再犯させない責任は家族ではなく社会にあり、社会がそのためのシステムを作っていくべきではないかと。

 犯罪者を家族が監督するってそれはまるっきり自助・共助で無償労働だし、加害者更生・支援の専門家ではない人がうまく監督できなかった場合にそのツケは被害者が支払うことになるのだから救いがない。

・被告人の父親「自主退学は当然のこと」

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ライター

ライター/主に性暴力の取材・執筆をしているフェミニストです/1980年東京都品川区生まれ/Yahoo!ニュース個人10周年オーサースピリット大賞をいただきました⭐︎ 著書『たまたま生まれてフィメール』(平凡社)、『告発と呼ばれるものの周辺で』(亜紀書房)『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を』(タバブックス)/共著『災害と性暴力』(日本看護協会出版会)『わたしは黙らない 性暴力をなくす30の視点』(合同出版)/2024年5月発売の『エトセトラ VOL.11 特集:ジェンダーと刑法のささやかな七年』(エトセトラブックス)で特集編集を務める

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